なぜ虐待は起きるのか?

介護施設での高齢者への虐待は、2017年度で510件。
452件だった前年の2016年度より58件、12.8%も増えています。

さらに、2018年度には621件に上りました。

2006年4月1日、高齢者虐待防止法が施行されました。
65歳以上の高齢者を介護施設や家族など養護者から守るための法律です。

老人ホームや老人福祉施設などで次の5つの行為が高齢者虐待となります。

・身体的虐待(利用者にケガをさせるような暴行)
・介護・世話の放棄・放任(食事をさせない、長時間放置する、など)
・心理的虐待(暴言や利用者の心を傷つける言動)
・性的虐待(わいせつな行為)
・経済的虐待(財産を勝手に処分する)

このように、高齢者の権利を侵害する言動や生命の危険、安心した生活をおびやかす行為を高齢者虐待と呼んでいます。

高齢者虐待は、介護施設の運営方法の問題をはじめ、介護職員のストレスや資質など個人的な問題、認知症など利用者の病気の進行による対応のしづらさなど、さまざまな要因が考えられます。

厚生労働省がまとめた高齢者虐待に関する調査によると、理由のトップは「教育・知識・介護技術等に関する問題」(65.6%)です。
介護施設の教育体制や職員個人のスキルが大きく影響していることがわかります。

高齢者虐待を防ぐには?

虐待を防ぐために、介護施設において常に外部からの視線を取り込むことが大切です。
利用者の高齢者は介護職員と長時間を共に過ごします。
濃い人間関係が生まれることも珍しくないため、一歩間違うと高齢者虐待のような事件に発展するリスクも抱えているのです。

そのため運営における一つの予防策として、積極的に地域社会との交流を図ることが必要になってきます。

また、定期的に研修をおこなって、現場で活躍する介護職員の介護スキルや専門知識を高めること、働く環境を改善して職員のストレス軽減や生活の安定に努めることも大切でしょう。

一人ひとりが意識するべきことは?

介護士として高齢者虐待の事件を起こさないためには、日頃から介護に関する知識や技術の勉強を怠らない姿勢が重要です。
たとえば認知症の患者の症状や特徴への理解を深めることで、利用者の言動や行動にも落ち着いて対応できるはずです。
また、もし現場で悩みがあったら、できるだけ早く上司や同僚に相談し問題がこじれないように心がけましょう。

高齢者虐待は介護施設の外からは見えづらい問題です。
虐待が一度起こると、日常的に繰り返してしまうケースも少なくありません。
日常的に虐待を防止するための学習をしたり、介護職員同士でもお互いの働き方に目を向け合うこと、外からの交流を取り入れることが虐待防止に繋がっていくでしょう。
また早いうちに施設や行政の窓口に相談するといった手段も念頭に置いて業務に臨むことが大切です。

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