介護報酬改定とは?
介護報酬とは、老人ホームやデイサービスといった介護サービス事業者が利用者へ介護保険サービスを提供した場合に、利用料の9割を保険者である市町村が介護サービス事業者へ支払う報酬のことをいいいます。
老人ホームや訪問介護の介護事業者は、利用者と国から介護報酬を受け取って、施設運営費や人件費などに充当しています。
介護保険サービス利用者は、利用料のうち所得に応じて1〜3割を自己負担する必要があります。
2015年から、それまで原則1割だった自己負担割合は、一定以上の所得がある高齢者は2割、現役並みの所得がある場合は3割を負担するように改定されました。
なお、自己負担割合以外の介護保険サービス料は、介護事業者が市町村に請求して支給を受けます。
介護報酬の金額は、介護保険法にしたがって厚生労働大臣が定めています。
その改定は3年に1度行われていて、2021年度は改定のタイミングに当たります。
2021年度に向けて議論されている内容
厚生労働省は2021年度の改定では、次の5つのテーマを示しています。
・地域包括ケアシステムの推進
・自立支援・重度化防止の推進
・介護人材の確保・介護現場の革新
・制度の安定性・持続可能性の確保
・感染症や災害への対応力強化
特に今回は新型コロナで経営状況が苦しい事業者が増えているため、感染症が拡大したときに必要な取り組みや業務効率化につながるICT活用の採用などが目玉となっています。
また、現場の人材不足感を解消するため、介護職の待遇改善についても議論が続けられています。
具体的には、2021年の改定で、介護職員等特定処遇改善加算に動きがありました。
それまでの配分ルールである「リーダー級職員の平均賃上げ額をその他の介護職員の賃上げ額の2倍以上にする必要がある」について『2倍』から『より高くする』と変更が具体的に盛り込まれました。
『2倍』という限定された数字よりも、加算の取得率がアップするといった狙いがあります。
いよいよ最終的な結論へ
介護報酬改定の最終的な内容は、改定の前年12月に発表されます。
2020年11月13日、田村厚生労働大臣は、介護職員の待遇改善に向けて介護報酬の引き上げに意欲的な姿勢を示しました。
新型コロナウイルス感染拡大や経営が悪化する介護事業者が増えているのを受けて、介護の現場を守るという立場を強調しています。
一方で、財務省は報酬の引き上げをすれば、国民への負担増につながるとして、否定的な考えです。
40代以上の介護保険料のアップや高齢者の自己負担額の増加は避けたい立場を取っています。
厚生労働省や介護業界は報酬の引き上げをはじめ介護職の待遇改善を求めていて、財務省との調整がどうなるかが注目されていました。
介護報酬改定は、介護業界の経営や介護職の待遇にとって大きな出来事です。
2021年度4月から、0.7%の報酬改定となりました。
なお、そのうち0.05%はコロナ禍における特例措置で、4月から9月のみ適用されます。
また今後2022年以降の改定が変わっていく可能性も十分に考えられるため、どのような内容になるか随時チェックしていきましょう。
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