ケアマネジャーとして働くには?資格・試験・給与・就職先を徹底解説
介護サービスの司令塔とも呼ばれるケアマネジャー。
介護を必要とする人が必要なサービスを必要なタイミングで受けられるようにコーディネートする専門職であり、介護の現場でも特に責任とやりがいが大きい仕事として知られています。
資格の取り方、試験の難易度、給与の実態、就職先の特徴まで、公的データをもとに整理しました。
ケアマネジャーとは?
ケアマネジャーの正式名称は「介護支援専門員」です。
介護保険サービスを利用する要介護者・要支援者やその家族の相談に応じ、その人の状態に合った介護サービス計画(ケアプラン)を作成します。
計画を作るだけでなく、計画通りにサービスが提供されているかを定期的に確認(モニタリング)し、必要に応じてプランを見直すことも業務に含まれます。
ケアマネジャーが日常的に関わる主な業務は、次のような流れで進みます。
まず利用者・家族からの相談を受け(インテーク)、生活状況や心身の状態を丁寧に把握するアセスメントを行います。
その情報をもとにケアプランの原案を作成し、訪問介護事業者や医療機関などの関係者が一堂に集まるサービス担当者会議で内容を確認します。
合意が得られたプランを利用者に交付し、サービスが始まった後は月に1回以上の自宅訪問(居宅ケアマネの場合)でモニタリングを続けます。
こうした業務に加えて、各月の給付管理(介護報酬の請求処理)も担当するため、多職種との調整能力と事務処理能力の両方が求められる職種です。
ケアマネジャーになるための資格と受験要件
ケアマネジャーになるには、「介護支援専門員実務研修受講試験」への合格が必要です。
この試験はケアマネ試験と呼ばれ、各都道府県が実施します。
そのうえで87時間以上の実務研修を修了し、都道府県の登録と介護支援専門員証の交付を受けます。
国家資格ではなく、都道府県が認定・登録管理する資格です。
現行の受験資格
受験資格は以下のいずれかに該当する方が対象となります (厚生労働省「介護支援専門員実務研修受講試験について」)。
① 国家資格等に基づく業務への従事
医師、看護師、准看護師、薬剤師、社会福祉士、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士など、法定の国家資格等に基づく業務に通算5年以上かつ900日以上従事していること。
② 相談援助業務への従事
生活相談員・支援相談員・相談支援専門員・主任相談支援員など、定められた相談援助業務に通算5年以上かつ900日以上従事していること。
介護職からケアマネを目指す場合は、介護福祉士を取得し、介護福祉士として実務経験を積むルートが基本です。
第28回試験では、合格者の64.1%(8,310人)が介護福祉士でした。
なお、介護職員初任者研修や実務者研修の修了のみでは受験資格になりません。
これらの資格は介護福祉士国家試験へつながる入口として位置づけられており、介護福祉士を取得してから実務経験を積むことでケアマネへの道が開きます。
受験は原則として、現在の勤務地または住所地の都道府県で行います。
試験の実施時期や出願方法は都道府県ごとに異なるため、受験を検討する際は各都道府県の指定機関に確認してください。
制度改正の動き(2026年10月時点)
「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)が2026年6月19日に成立し、6月25日に公布されました。
この法律には、ケアマネジャーの資格の更新制を廃止する改正が盛り込まれています。
改正法によるケアマネジャー関係の主な変更
| 項目 | 現行制度(2026年10月時点) | 改正法の施行後 |
|---|---|---|
| 受験資格の実務経験 | 通算5年以上・900日以上 | 改正法では変更なし(見直しの議論は下記) |
| 資格の有効期間 | 5年(更新制) | 有効期間と更新の仕組みを廃止 |
| 研修の扱い | 更新のための研修(専門研修など) | 都道府県が行う研修を受けることを法律に規定(内容は省令で定める) |
| 受験対象の国家資格 | 現行の国家資格等 | 改正法では変更なし(見直しの議論は下記) |
更新制の廃止などの施行日は、公布の日から1年6か月を超えない範囲で政令で定める日です。
受験資格の見直しは、この法律とは別に議論されています。
社会保障審議会介護保険部会は2025年12月25日の意見で、実務経験5年を3年に見直すことが適当としました。
受験対象の国家資格に、診療放射線技師・臨床検査技師・臨床工学技士・救急救命士・公認心理師を加えることも適当としています。
実際に受験要件が変わるには、厚生労働省令などの改正が必要です。
令和8年度試験(2026年10月11日)の受験要件は、通算5年以上かつ900日以上です。
受験を考えている方は、都道府県の試験案内で最新の要件を確認してください。
なお、現在すでに資格を持っているケアマネジャーは、法施行までのあいだ現行の5年有効期間が継続します。
更新研修の受講期限には引き続き注意が必要です。
ケアマネジャー試験の概要と難易度
試験形式と出題内容
ケアマネ試験は毎年10月に実施されます。
マークシート方式の全60問、試験時間は120分です。
| 出題分野 | 問題数 |
|---|---|
| 介護支援分野 | 25問 |
| 保健医療福祉サービス分野のうち保健医療サービス | 20問 |
| 保健医療福祉サービス分野のうち福祉サービス | 15問 |
| 合計 | 60問 |
出題は介護支援分野(25問)と保健医療福祉サービス分野(35問)の2分野で、分野ごとに合否が判定されます。
合格点は、分野ごとに正答率70%を基準として、問題の難易度で補正されます。
第28回の合格点は、介護支援分野が18点、保健医療福祉サービス分野が25点でした。
合格率の実態
ケアマネ試験の合格率は、年度によって大きく変動します。
第26回(令和5年度)は21.0%でしたが、第27回(令和6年度)は32.1%と10ポイント以上上昇しました。
| 試験回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 第28回(令和7年度・2025年10月実施) | 50,601人 | 12,961人 | 25.6% |
| 第27回(令和6年度・2024年10月実施) | 53,699人 | 17,228人 | 32.1% |
| 第26回(令和5年度・2023年10月実施) | 56,494人 | 11,844人 | 21.0% |
(出典:厚生労働省「第28回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」、同「第27回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」)
第28回の合格率は前回(32.1%)から約6.5ポイント下がり25.6%となり、年度によって合格率が大きく変動することがわかります。
過去には10%台の年度もあり、難関試験であることに変わりはありません。
幅広い年度のデータを確認したうえで学習計画を立てることが大切です。
ケアマネジャーになるまでの研修体系
試験に合格すれば、すぐにケアマネとして働けるわけではありません。
合格後は87時間以上の実務研修を修了し、都道府県の登録を受けます。
そのうえで介護支援専門員証の交付を申請し、交付を受けてから働けます。
2026年10月時点では、介護支援専門員証の有効期間は5年です。
更新するには、実務経験の有無に応じて、以下の研修を修了する必要があります。
有効期間と更新の仕組みは改正法の施行でなくなり、都道府県が行う研修を受ける仕組みに変わります。
| 研修名 | 時間数 | 対象 |
|---|---|---|
| 専門研修課程I | 56時間以上 | 実務経験者の初回の更新(IIと併せて受講) |
| 専門研修課程II | 32時間以上 | 実務経験者の初回の更新(Iと併せて受講)と、2回目以降の更新 |
| 更新研修(実務未経験者) | 54時間以上 | 実務未経験者の更新 |
さらに、一定の要件を満たしたケアマネジャーは、70時間以上の主任介護支援専門員研修を受けられます。
修了すると、主任介護支援専門員として活動できます。
主任介護支援専門員は、居宅介護支援事業所の管理者要件として位置づけられています。
より責任ある立場で、ケアマネジメント全体のマネジメントを担います。
ケアマネジャーの給与
平均月給の実態
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、処遇改善加算を取得している事業所における介護支援専門員(常勤・月給制)の平均給与額は月額375,410円でした (2024年9月時点、基本給・各種手当・一時金の1/6を含む)。
介護福祉士(月額350,050円)より高い水準であり、資格職として専門性が給与に反映されていることがわかります。
ただし、都市部と地方、法人規模、施設形態(居宅か施設か)によって実態には差があります。
2026年6月から処遇改善加算が新設
これまで居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)は処遇改善加算の対象外でした。
しかし2026年6月の介護報酬臨時改定において、居宅介護支援にも処遇改善加算(加算率2.1%)が新設されました。
この改定による給与への影響は、事業所の収益規模や配分方法によって異なりますが、居宅ケアマネの処遇底上げにつながる措置として注目されています (出典:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」)。
ケアマネジャーの就職先と仕事の特徴
ケアマネジャーが活躍する主な職場は「居宅系」と「施設系」の2種類に大きく分けられます。
それぞれで担当する利用者の特性や業務の進め方が異なります。
居宅ケアマネ・施設ケアマネ・地域包括支援センターの比較
| 職場 | 担当対象 | 担当人数の目安 | 主な業務 | 夜勤 |
|---|---|---|---|---|
| 居宅介護支援事業所 | 在宅の要介護1〜5の方 | 原則44人まで(ICT活用・事務職員配置で49人まで) | ケアプラン作成・モニタリング・給付管理 | なし |
| 特別養護老人ホーム | 施設入所者 | 入所者100人につき1人 | 施設サービス計画作成・多職種連携 | 施設により異なる |
| 介護老人保健施設 | 施設入所者・通所者 | 入所者100人につき1人 | 施設サービス計画・リハビリとの連携 | 施設により異なる |
| 有料老人ホーム | 施設入居者 | 施設規模による | 生活相談・施設サービス計画 | 施設により異なる |
| 地域包括支援センター | 地域の高齢者全般 | 高齢者人口3,000〜6,000人に対し三職種各1人以上 | 介護予防ケアマネジメント・総合相談・権利擁護 | 原則なし |
出典:厚生労働省「介護支援専門員(ケアマネジャー)」、厚生労働省「地域包括支援センターの設置運営について」
居宅ケアマネの仕事の特徴
居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、利用者の自宅を訪問して顔を合わせながら関係を築いていきます。
担当する利用者の数が多く、サービス担当者会議の開催や給付管理など事務的な業務も多い点が特徴です。
令和6年度の介護報酬改定(2024年4月1日施行)により、1人のケアマネジャーが担当できる利用者数の上限が従来の39件から44件に引き上げられました(改定前は40件以上で逓減制が適用、改定後は45件以上で逓減制が適用)。
さらに、ケアプランデータ連携システムを活用し事務職員を配置している事業所では、49人まで減算なしで担当できます。
この緩和は、ケアマネジャーの業務効率化と人材確保の両面を意図した改定です。
施設ケアマネの仕事の特徴
特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設ケアマネジャーは、入所者100人につき1人の配置基準のもと、施設サービス計画の作成と多職種連携の中心を担います。
看護師・リハビリ職・介護士などと日常的に連携しながら、入所者の状態変化に対応したプランの見直しを行います。
夜勤が発生するかどうかは施設のルールによって異なります。
地域包括支援センターの役割
地域包括支援センターは介護予防から権利擁護まで、地域の高齢者を幅広く支える拠点です。
主任介護支援専門員、保健師、社会福祉士の3職種が配置されており(高齢者人口3,000〜6,000人につき各1人以上)、要支援者の介護予防ケアマネジメントや地域の総合相談、高齢者の権利擁護、包括的・継続的ケアマネジメントの4つの業務を担います。
ケアマネを目指すキャリアパス
介護業界で一般的なケアマネへの道筋は、次のような段階をたどります。
まず介護の仕事に就くにあたり、初任者研修で基礎知識・技術を習得します。
次のステップとして実務者研修を修了し、介護福祉士国家試験の受験資格を得ます。
介護福祉士として実務経験を積み、現行制度では通算5年以上・900日以上の要件を満たしたのちにケアマネ試験に挑戦するというルートが王道です。
なお、社会保障審議会介護保険部会は2025年12月の意見で、この実務経験要件を3年に見直すことが適当としています。
介護福祉士を取得して間もない方も、制度改正の動向を確認しながらキャリアプランを描いてみてください。
ケアマネ合格後は、さらに主任介護支援専門員を目指すキャリアもあります。
居宅介護支援事業所の管理者になるためには主任介護支援専門員の資格が必要になっており、事業所をマネジメントする立場を希望する方には重要な上位資格です。
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