在宅介護ケアのメリットと課題

目次
在宅介護ケアについて

在宅介護ケア(訪問介護サービス)は、職員が利用者の自宅へ行き、身体介護や生活支援を行う介護サービスです。
サービスの特徴は、サービス利用者の対象範囲が広いことが挙げられます。またサービス提供により家族の負担を軽減することにも役立ちます。
在宅介護ケアは、サービス付き高齢者向け住宅などにもサービスを提供している為、訪問場所は自宅だけではありません。
在宅介護ケアの課題と介護職員が働くメリットについて
訪問介護は2024年の診療報酬改定によって基本報酬が2%以上引き下げられました。
そして東京商工リサーチの調査によると、規模の小さい事業所は赤字が悪化し、過去最高の倒産・休廃業件数となりました。
そのため、利用者の中には在宅生活が維持できなくなる人がこれから増えることが予測されます。
訪問介護業界で生き残っているのは、大規模事業所のみというのが現状です。
そんな在宅介護業界で働くメリットは次の通りです。
やりがいのある仕事ができる
訪問介護は、サービス提供時間のすべてが個別ケアです。また 1 対 1 でじっくり支援できるため、非常にやりがいを感じやすい仕事です。
サービス提供中は職場の人間関係に左右されにくい
基本的に一人で利用者宅へ訪問するため、現場で自分のペースを維持しやすく、スタッフ間のストレスを最小限にできます。
資格やスキルが活かしやすい
介護職員初任者研修など資格取得でできる業務が拡大し、給与アップも期待できます。自費サービスを行う民間会社では高収入の道も開けます。
勤務時間の融通が利きやすい
日勤のみの事業所から夜間対応まで多様。時短勤務も選べるため、生活サイクルに合わせた働き方が可能です。
在宅介護ケアのデメリットについて
訪問介護のデメリットは次の通りです。
身体的・精神的ストレスがかかる場合がある
施設と違い訪問先への移動や、住宅環境によっては狭いスペースでの介助が必要な場合もあります。なので介護者自身で身体的負荷を軽くする対策が必要です。
また利用者やその家族との板挟みになったり、ハラスメントの被害にあうことがあります。一人で抱え込まずケアマネージャーやサービス提供責任者に報告し対処してもらうことが必要です。
勤務時間が不規則
訪問介護は、利用者のニーズがシフトに反映されるため、勤務時間が不規則になりやすいです。利用者の入院などで急にサービスが中断することもあります。
また人手不足の事業所の場合、緊急対応のために休日出勤や残業が発生しやすいという面もあります。
給与面の不安定さ
訪問介護は、時間に融通が利くように多様な労働形態を取り入れています。
ただ、労働形態によって時給の賃金は違っていることがあります。
また労働時間や担当利用者数によって変動することがあるため、他の介護サービス事業所よりも収入が不安定です。
自治体の支援策

在宅介護行っている家庭への支援策として、自治体は次のような取り組みを行っています。
認知症高齢者を介護する家族へのGPS貸出
神奈川県茅ヶ崎市では、認知症の方を在宅介護している家族へ GPS の貸し出しを行っています。
それだけでなく SOS ネットワークも整備し、地域で見守り仕組みを作っています。
自宅での理容・美容サービスの提供
鹿児島県鹿児島市では、要介護 3 以上かつ 65 歳以上の高齢者家庭へ、理容・美容師が訪問し、カットや洗髪などを行うサービスを支援しています。
介護する人を支える家族介護支援金
高知県いの町では、在宅介護している家族に介護支援金が支払われます。
他の自治体は要介護 4~5 から支給されるものの、いの町の場合は「要介護 2」から支給される点が大きな違いです。
介護事業所への自治体の支援策には次のようなものがあります。
介護ロボットで介護職員をサポート
東京都港区では、介護事業者へ介護ロボット購入の補助金を出しています。
介護ロボットは、介護が必要な方の自立支援や、介護する側の負担軽減に役立つロボット機器です。
移乗や移動、排泄支援などを行います。
補助を受けたい事業所は港区の設ける相談窓口で、介護ロボット・ICT など事業所の規模にあった機器を相談します。
1 事業所あたり上限は 400 万円です。