介護の資格取得に使える教育訓練給付金とは?3つの種類と受給条件をわかりやすく解説
介護の資格を取りたいけれど、受講費用がネックになっている方は少なくありません。
介護職員初任者研修で5万〜10万円、実務者研修で8万〜20万円ほどかかるため、費用面で一歩を踏み出せない方もいるでしょう。
こうした方を支えてくれるのが「教育訓練給付金」です。
厚生労働大臣が指定する講座を受講・修了した場合に、受講費用の一部がハローワークから支給される制度で、介護資格の取得にも活用できます。
教育訓練給付金は返済不要の「給付」です。
あとで紹介する貸付制度(ローン)とは異なり、条件を満たせば受講費用の一部がそのまま戻ってきます。
2026年3月時点で、教育訓練給付金には「一般教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」の3種類があります。
2024年10月には制度改正が行われ、特定一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の給付率が引き上げられました(厚生労働省「教育訓練給付制度」)。
ここからは、それぞれの給付金の内容と受給条件を詳しく見ていきます。
目次
教育訓練給付金の3つの種類
1. 一般教育訓練給付金
一般教育訓練給付金は、雇用の安定や就職促進に役立つ教育訓練が対象です。
介護資格では、介護職員初任者研修や実務者研修の講座が指定されています。
給付額は、受講費用の20%(上限10万円)で、講座を修了したあとに支給されます(ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」)。
ただし、給付金の額が4,000円を超えない場合は支給されません。
たとえば、受講費用が8万円の初任者研修講座であれば、修了後に1万6,000円が戻ってくる計算です。
受給条件は以下のとおりです。
- 受講開始日時点で、雇用保険の被保険者期間が3年以上あること(初めて受給する場合は1年以上)
- 離職者の場合は、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であること
- 2回目以降の利用は、前回の受給から3年以上経過していること
離職後1年以内という期限については、妊娠・出産・育児・疾病などやむを得ない理由がある場合、最大20年まで延長できます。
なお、雇用保険の被保険者とは、会社などに雇用されて雇用保険に加入している方を指します。
自営業者や公務員など、雇用保険に加入していない方は対象になりません。
パートやアルバイトでも、雇用保険に加入していれば対象となります。
申請方法は比較的シンプルです。
講座を修了したあと、修了日の翌日から1か月以内に、住所を管轄するハローワークの窓口、またはe-Gov電子申請で申請します。
事前の手続きは不要です。
2. 特定一般教育訓練給付金
特定一般教育訓練給付金は、速やかな再就職と早期のキャリア形成に役立つ教育訓練が対象で、2019年(令和元年)10月に新設されました。
介護資格では、介護職員初任者研修の講座が多く指定されています。
実務者研修についても指定を受けている講座があります。
給付額は、受講費用の40%(上限20万円)です。
さらに、2024年(令和6年)10月1日以降に受講を開始した講座については、修了後に資格を取得し、1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合、追加で受講費用の10%(上限5万円)が支給されます。
合計すると、最大で受講費用の50%(上限25万円)を受け取れます(政府広報オンライン「教育訓練給付金があなたのキャリアアップを支援します」)。
たとえば、受講費用が8万円の初任者研修講座の場合、修了後に3万2,000円が支給されます。
資格取得後に就職した場合は、追加で8,000円が上乗せされ、合計4万円が戻ってくる計算です。
受給条件は、一般教育訓練給付金と同じく、雇用保険の被保険者期間が3年以上(初回は1年以上)です。
離職者の場合は離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であること、2回目以降は前回の受給から3年以上経過していることも同様です。
ただし、特定一般教育訓練給付金には受講前の事前手続きが必要です。
受講開始日の2週間前までに(2024年4月に「1か月前」から「2週間前」に緩和されました)、ハローワークで以下の手続きを行う必要があります。
- 訓練前キャリアコンサルティングを受ける
- ジョブ・カードを作成する
- 受給資格確認を行う
キャリアコンサルティングは、各ハローワーク内で受けられます。
ジョブ・カードとは、職歴や学習歴、取得資格などをまとめた書類で、キャリアコンサルティングの際に相談員のアドバイスを受けながら完成させます。
この事前手続きを行わないと給付金を受け取れないため、スケジュールに余裕をもって準備しましょう。
3. 専門実践教育訓練給付金
専門実践教育訓練給付金は、中長期的なキャリア形成に役立つ教育訓練が対象です。
介護資格では、介護福祉士の養成課程や、介護福祉士実務者研修(専門実践教育訓練として指定を受けている講座)などが対象になります。
3種類の給付金のなかで最も給付率が高く、介護福祉士を目指す方にとって大きな支援になります。
給付額は段階的に加算される仕組みです(厚生労働省「教育訓練給付制度」)。
まず、訓練受講中に6か月ごとに受講費用の50%(年間上限40万円)が支給されます。
修了後に資格を取得し、1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合は、受講費用の70%(年間上限56万円)との差額が追加支給されます。
さらに、2024年10月1日以降に受講を開始した講座の場合、上記の要件を満たしたうえで訓練修了後の賃金が受講開始前と比較して5%以上上昇した場合は、受講費用の80%(年間上限64万円)との差額が追加支給されます。
給付期間は最大3年間です。
受給条件は、雇用保険の被保険者期間が3年以上(初めて受給する場合は2年以上)です。
離職者の場合は離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であること、2回目以降は前回の受給から3年以上経過していることが必要です。
特定一般教育訓練給付金と同様に、受講開始日の2週間前までにハローワークでの事前手続き(訓練前キャリアコンサルティング、ジョブ・カード作成、受給資格確認)が必要です。
なお、失業中の方が初めて専門実践教育訓練(通信制・夜間制を除く)を受講する場合、受講開始時に45歳未満であるなど一定の要件を満たせば、別途「教育訓練支援給付金」も受給できます。
教育訓練支援給付金は2027年(令和9年)3月31日までの暫定措置です。
3つの給付金の給付率・受給条件の比較
| 一般教育訓練 | 特定一般教育訓練 | 専門実践教育訓練 | |
|---|---|---|---|
| 基本の給付率 | 受講費用の20% | 受講費用の40% | 受講費用の50% |
| 上限額 | 10万円 | 20万円 | 年間40万円 |
| 追加給付(資格取得+就職) | なし | +10%(上限25万円) | +20%(年間上限56万円) |
| 追加給付(賃金5%以上上昇) | なし | なし | +10%(年間上限64万円) |
| 最大給付率 | 20% | 50% | 80% |
| 給付期間 | 修了後に一括 | 修了後に一括 | 最大3年間(6か月ごと) |
| 被保険者期間(初回) | 1年以上 | 1年以上 | 2年以上 |
| 被保険者期間(2回目以降) | 3年以上 | 3年以上 | 3年以上 |
| 離職者の期限 | 離職後1年以内 | 離職後1年以内 | 離職後1年以内 |
| 事前手続き | 不要 | 必要(2週間前まで) | 必要(2週間前まで) |
※追加給付は2024年10月1日以降に受講を開始した講座が対象です。
※離職後の期限は、妊娠・出産・育児・疾病等の理由がある場合、最大20年まで延長できます。
出典:厚生労働省「教育訓練給付制度」
出典:政府広報オンライン「教育訓練給付金があなたのキャリアアップを支援します」
介護資格と給付金の対応
介護資格ごとに、どの給付金が使えるかを表で整理します。
| 介護資格 | 対応する給付金の種類 | 最大給付率 |
|---|---|---|
| 介護職員初任者研修 | 一般教育訓練 または 特定一般教育訓練 | 20%〜50% |
| 実務者研修 | 一般教育訓練 または 専門実践教育訓練 | 20%〜80% |
| 介護福祉士養成課程(2年制等) | 専門実践教育訓練 | 50%〜80% |
※同じ資格の講座でも、スクールごとに指定を受けている給付金の種類が異なります。
介護職員初任者研修の場合
一般教育訓練給付金(受講費用の20%)または特定一般教育訓練給付金(同40〜50%)の対象講座が多くあります。
同じ初任者研修でも、スクールごとにどの給付金の指定を受けているかが異なるため、受講を検討する際は必ず確認してください。
実務者研修の場合
スクールによって指定されている給付金の種類が異なります。
一般教育訓練給付金(同20%)の指定を受けている講座もあれば、専門実践教育訓練給付金(同50〜80%)の指定を受けている講座もあります。
専門実践教育訓練に指定されている講座を選べば、より高い給付率の支援を受けられます。
ただし、専門実践教育訓練給付金は事前手続きが必要で、初回受給には雇用保険の被保険者期間が2年以上求められるなど条件が異なるため、どちらの制度を利用するかによって準備も変わってきます。
介護福祉士養成課程(養成施設での2年間の課程)の場合
専門実践教育訓練給付金(同50〜80%)の対象です。
いずれの場合も、受講予定のスクールがどの種類の教育訓練給付金の指定講座であるかを確認することが最も重要です。
2026年4月1日時点で、特定一般教育訓練の指定講座は1,424講座、専門実践教育訓練の指定講座は3,488講座あり、オンラインや土日に受講できる講座も含まれています。
厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で、指定講座を検索できます。
受給の流れ
一般教育訓練給付金の場合
事前手続きは不要です。
講座を修了したあと、修了日の翌日から1か月以内にハローワークの窓口、またはe-Gov電子申請で申請します。
特定一般・専門実践教育訓練給付金の場合
受講前にハローワークでの事前手続きが必要です。
大まかな流れは以下のようになります。
- 自分が受給資格を満たしているかどうかを、ハローワークに「教育訓練給付金支給要件照会」をかけて確認する
- 受講開始日の2週間前までに、訓練前キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成する
- ハローワークで受給資格確認の手続きを行う
- 講座を受講・修了する
- 修了日の翌日から1か月以内にハローワークで支給申請を行う
給付金の受給要件は細かな条件があるため、受講を決める前にハローワークへ支給要件照会をかけて確認しておくと安心です。
クリエ福祉アカデミーの講座と教育訓練給付金
クリエ福祉アカデミーの介護職員初任者研修と実務者研修は、いずれも厚生労働大臣指定の一般教育訓練給付制度の指定講座です。
対象の方は、講座修了後にハローワークで申請することで、受講料の20%が給付されます。
クリエ福祉アカデミーでは、介護未経験・無資格の方向けに初任者研修と実務者研修を同時に申し込める「ダブル受講」も用意しています。
教育訓練給付金を活用すれば、さらに自己負担を抑えて受講できます。
クリエ福祉アカデミーの介護職員初任者研修はこちら
クリエ福祉アカデミーの実務者研修はこちら
2025年10月に新設された「教育訓練休暇給付金」
2025年10月から、新たに「教育訓練休暇給付金」が創設されました。
在職中の方が教育訓練のために30日以上の無給休暇を取得した場合に、失業給付(基本手当)に相当する給付として賃金の一定割合が支給される制度です。
たとえば、働きながら介護福祉士養成施設に通うために長期の休暇を取る場合などに、生活費を補いながら学ぶことが可能になります。
主な要件は以下のとおりです。
- 雇用保険の被保険者であること
- 通算して5年以上雇用保険に加入していること
- 休暇開始前の2年間に被保険者期間が12か月以上あること
- 会社の就業規則等に基づく30日以上の無給休暇であること
- 業務命令ではなく、本人の意思による休暇取得であること
受給期間は、休暇開始日から1年以内に取得した休暇が対象で、30日ごとにハローワークで認定を受けて支給されます。
ただし、この制度を利用するには勤務先の就業規則に教育訓練休暇制度が定められている必要があります。
厚生労働省「令和6年度能力開発基本調査」によると、教育訓練休暇制度を導入している企業は全体の7.5%にとどまっており、制度の普及はこれからの段階です。
教育訓練休暇給付金は、上で紹介した教育訓練給付金(受講費用の一部を支給する制度)とは別の給付金です。
詳細はお住まいの地域を管轄するハローワークにお問い合わせください。
教育訓練給付金以外の費用支援制度
介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度
実務者研修の受講費用については、各都道府県の社会福祉協議会が実施する「介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度」も利用できます。
東京都の場合、東京都社会福祉協議会(東京都福祉人材センター)が実施しており、最大20万円を無利子で借りることができます(東京都社会福祉協議会「実務者研修施設在学者向け修学資金貸付事業」)。
この制度で借りた資金は、実務者研修修了後に介護福祉士の国家試験に合格し、介護福祉士として登録したうえで、東京都内の指定施設にて2年間継続して介護業務に従事した場合、返還が全額免除されます。
ただし、この制度は「貸付」であり、返還免除の条件を満たさなかった場合は返済が必要です。
また、申請は受講中に在学する実務者研修施設を通じて行う必要があり、申請にはすでに3年以上の介護業務の実務経験があることなどの条件があります。
利用を検討する方は、まずクリエ福祉アカデミーにご相談ください。
その他の費用支援
クリエ福祉アカデミーでは、受講料が全額免除になる「特待生制度」や、2名以上でのお申し込みによる「お友達紹介制度」などもご用意しています。
教育訓練給付金の対象に当てはまらない方も、費用を抑えて受講できる仕組みがあります。
詳しくはクリエ福祉アカデミーまでお問い合わせください。
まとめ
教育訓練給付金は、介護資格の取得費用を軽減できる返済不要の制度です。
2024年10月の制度改正で給付率が引き上げられ、活用のメリットはさらに大きくなりました。
2025年10月には教育訓練休暇給付金も新設され、働きながら学ぶための支援制度が充実しつつあります。
ご自身がどの給付金を利用できるかは、雇用保険の加入状況や受講する講座によって異なります。
まずは住所を管轄するハローワークに支給要件照会をかけて、受給資格を確認しましょう。
クリエ福祉アカデミーの初任者研修・実務者研修は一般教育訓練給付制度の指定講座です。
補助金や助成金の活用方法についても、お気軽にクリエ福祉アカデミーまでお問い合わせください。