介護士の資格を取る順序は?効率的なキャリアアップの道筋を徹底解説
目次
介護資格の取得順序は本当に決まっているのか?
介護業界でキャリアアップを目指すとき、「どの資格から取ればいいの?」「順番は決まっているの?」と悩む方は少なくありません。
実は、介護資格の取得順序には明確な決まりがあるものとないものがあります。
この記事では、介護職員初任者研修、実務者研修、介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)という4つの代表的な資格について、それぞれの受験資格や取得の順序、効率的なキャリアアップの道筋を詳しく解説します。
費用や期間、受験資格の詳細までしっかりお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
介護業界には複数の資格がありますが、すべての資格に取得順序が決まっているわけではありません。
資格によっては、未経験から直接受講できるものもあれば、実務経験や他の資格の取得が必須となるものもあります。
順序が決まっていない資格
介護職員初任者研修と実務者研修は、どちらから先に取得しても問題ありません。
両方とも未経験から受講できる資格です。
初任者研修を修了していなくても、実務者研修を直接受講できます。
実務者研修は介護職員初任者研修の上位に位置づけられる資格ですが、初任者研修を経由せずに取得する道も開かれています。
順序が決まっている資格
一方、介護福祉士と介護支援専門員(ケアマネジャー)は、受験資格として実務経験や他の資格の取得が必要です。
介護福祉士の受験資格(実務経験ルート)には、実務経験3年以上(従業期間3年以上かつ従事日数540日以上)と実務者研修の修了が求められます。
つまり、実務者研修を修了していなければ介護福祉士国家試験を受験できません。
介護支援専門員の受験資格は、介護福祉士などの特定の国家資格を保有し、その資格に基づく業務を通算5年以上かつ従事日数900日以上行うことが条件です。
したがって、介護福祉士の資格を取得してから5年以上の実務経験を積まなければ、ケアマネジャー試験を受験できません。
それぞれの資格に必要な受験資格は?
介護資格を取得するためには、それぞれの資格ごとに定められた受験資格を満たす必要があります。
2025年10月時点での最新情報をもとに、4つの代表的な資格の受験資格を詳しく見ていきましょう。
介護資格の比較一覧表
| 資格名 | 受験資格 | 研修時間 | 受講期間の目安 | 費用の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 介護職員初任者研修 | なし(未経験OK) | 130時間 | 1〜4か月 | 5〜10万円 |
| 実務者研修 | なし(未経験OK) | 450時間 (初任者研修修了者は320時間) |
4〜6か月 | 無資格:9〜20万円 初任者研修修了者:6〜10万円 |
| 介護福祉士 | 実務経験3年以上 (540日以上)+実務者研修修了 |
– | – | 受験手数料:18,380円 |
| 介護支援専門員 (ケアマネジャー) |
国家資格保有+実務経験5年以上 (900日以上) |
– | – | 受験手数料:都道府県により異なる (例:東京都12,400円) |
※費用は2025年時点の目安です。各スクールや都道府県によって異なります。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、介護の入門資格です。
未経験から受講でき、特別な資格や実務経験は必要ありません。
受講資格に法定の年齢制限もありませんが、多くの養成機関では16歳以上などの年齢制限を設けています。
研修時間は講義と演習を合わせて130時間以上と定められています。
通学形式で受講する場合、一般的には1か月から4か月程度で修了できます。
受講費用は、実施機関や地域によって異なりますが、5万円から10万円程度です。
スクールによっては割引キャンペーンや就業支援制度を実施しているため、費用を抑えて受講できる可能性があります。
教育訓練給付制度(一般教育訓練給付金)を利用すると、受講費用の20%(最大10万円)が支給される場合もあります。
クリエ福祉アカデミーの介護職員初任者研修では、未経験の方でも安心して受講できるカリキュラムを提供しています。
実務者研修
実務者研修も、未経験から受講できます。
介護職員初任者研修を修了していなくても受講可能です。
実務者研修は、介護福祉士国家試験の受験資格を満たすために必要な研修です。
研修時間は450時間と定められていますが、保有資格によって免除される科目があります。
初任者研修やホームヘルパー2級を修了している場合、130時間分の科目が免除され、実質320時間の受講で修了できます。
この免除制度により、初任者研修修了者は受講期間を短縮でき、早期に資格を取得できます。
受講費用は、無資格の場合で9万円から20万円程度、初任者研修修了者の場合で6万円から10万円程度です。
保有資格によって免除される科目が多いほど、受講費用も安くなる傾向があります。
クリエ福祉アカデミーの実務者研修では、保有資格に応じた効率的なカリキュラムで、働きながらでも無理なく受講できる体制を整えています。
介護福祉士
介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格です。
受験資格を得るには、いくつかのルートがあります。
最も一般的な実務経験ルートでは、実務経験3年以上(従業期間3年以上かつ従事日数540日以上)と実務者研修の修了が必要です。
実務経験は、介護福祉施設や訪問介護事業所などで介護業務に従事した期間がカウントされます。
実務者研修を修了していない場合は、介護福祉士国家試験を受験できません。
試験は年1回、1月下旬に実施されます。
2026年1月実施の第38回試験から、パート合格制度が導入されます。
パート合格制度とは、全13科目を3つのパートに分け、合格したパートは2年間免除される制度です。
一度の試験で全科目に合格できなかった場合でも、次回以降は不合格のパートのみを受験すればよくなります。
2025年(第37回)の介護福祉士国家試験の合格率は78.3%でした。
他の国家資格と比較すると合格率が高い傾向にありますが、これは受験資格として実務経験3年以上が求められているため、一定の知識と経験を持つ方が受験しているからです。
介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護保険制度においてケアプラン作成や関係機関との連絡調整を行う専門職です。
正式には介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、実務研修を修了することで資格を取得できます。
受験資格は、特定の国家資格を保有し、その資格に基づく業務に通算5年以上かつ従事日数900日以上従事していることです。
対象となる国家資格には、介護福祉士、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、精神保健福祉士、栄養士、管理栄養士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師などが含まれます。
また、生活相談員や支援相談員などの特定の相談援助業務に通算5年以上かつ従事日数900日以上従事した場合も受験資格を得られます。
したがって、介護福祉士の資格を取得してから、その資格に基づく業務に5年以上かつ900日以上従事しなければ、ケアマネジャー試験を受験できません。
試験は年1回、10月に実施されます。
2025年10月12日に第28回試験が実施されました。
2024年度(第27回)の合格率は32.1%でした。
介護福祉士と比較すると合格率が低く、難易度の高い試験といえます。
試験に合格した後は、介護支援専門員実務研修(87時間以上)を修了し、都道府県の介護支援専門員資格登録簿に登録して、介護支援専門員証の交付を受ける必要があります。
なお、厚生労働省は2025年に介護支援専門員の受験資格緩和を審議会(社会保障審議会・介護保険部門)で提案し、大筋で了承されました。
今後、受験資格の対象となる資格の範囲拡大や実務経験年数の短縮が実施される見込みです。
詳細な実施時期や具体的な内容については、厚生労働省や各都道府県の公式サイトで最新情報を確認してください。
効率的なキャリアアップの道筋
介護資格の取得順序に絶対的な決まりはありませんが、効率的にキャリアアップを進めるための推奨ルートはあります。
ここでは、未経験から介護福祉士、さらには介護支援専門員を目指す場合の標準的な道筋を紹介します。
ステップ1:介護職員初任者研修から始める
未経験から介護業界に入る場合、まず介護職員初任者研修の取得をおすすめします。
初任者研修では、介護の基礎知識と基礎技術を体系的に学べます。
カリキュラムには、介護における尊厳の保持や自立支援、介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、認知症の理解などが含まれます。
これらの知識と技術は、介護現場で働く上での土台となります。
初任者研修を修了すると、訪問介護員(ホームヘルパー)として働けるようになります。
また、特別養護老人ホームやデイサービスなどの介護施設でも、初任者研修修了者を積極的に採用しています。
受講期間は1か月から4か月程度なので、比較的短期間で資格を取得できる点も魅力です。
費用は5万円から10万円程度ですが、教育訓練給付制度やスクールの割引キャンペーンを活用すると、負担を軽減できます。
ステップ2:介護現場で実務経験を積む
初任者研修を修了したら、実際に介護施設で働き、知識と経験を積みましょう。
実務経験を積むことで、座学で学んだ知識が実践的なスキルとして定着します。
利用者様一人ひとりの状態や生活背景を理解し、適切な介護を提供する力は、現場での経験を通じて養われます。
また、この段階で介護福祉士を目指すための実務経験要件(3年以上)をカウントし始めることができます。
実務経験は、介護福祉施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)や訪問介護事業所、通所介護事業所(デイサービス)などで介護業務に従事した期間がカウントされます。
パートやアルバイトでも、従事日数が540日以上あれば実務経験として認められます。
ステップ3:実務者研修を受講する
実務経験を積みながら、または実務経験を積んだ後に、実務者研修を受講しましょう。
実務者研修は、介護福祉士国家試験の受験資格を満たすために必須の研修です。
実務者研修では、初任者研修で学んだ内容をさらに深め、医療的ケア(喀痰吸引や経管栄養)についても学びます。
初任者研修を修了している場合、実務者研修の一部科目が免除されるため、受講期間を約4か月から6か月に短縮できます。
働きながら受講する場合、通信講座と通学(スクーリング)を組み合わせたコースを選ぶと、無理なく学習を進められます。
受講費用は、初任者研修修了者の場合で6万円から10万円程度です。
ステップ4:介護福祉士国家試験にチャレンジする
実務経験が3年以上(従業期間3年以上かつ従事日数540日以上)に達し、実務者研修を修了したら、介護福祉士国家試験を受験できます。
試験は年1回、1月下旬に実施されます。
受験申込は前年の8月から9月にかけて行われるため、余裕を持って準備しましょう。
試験は筆記試験のみで、125問の五肢択一形式です。
出題科目は、人間の尊厳と自立、人間関係とコミュニケーション、社会の理解、介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、介護過程、こころとからだのしくみ、発達と老化の理解、認知症の理解、障害の理解、医療的ケア、総合問題の13科目です。
合格基準は、総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上を得点し、かつ11科目群すべてで最低1問以上正解することです。
しっかりと対策を行えば、合格は十分に狙えます。
介護福祉士の資格を取得すると、介護職としての専門性が認められ、給与アップやキャリアアップにつながるでしょう。
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員処遇改善加算を取得している事業所における介護職員(月給・常勤)の平均給与額は約33万8,200円です(2024年9月時点)。
無資格者や初任者研修修了者と比較すると、月給で数万円の差があります。
ステップ5:介護支援専門員(ケアマネジャー)を目指す
介護福祉士として十分に経験を積んだら、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格取得を目指すこともできます。
介護福祉士の資格に基づく業務に5年以上かつ900日以上従事すれば、ケアマネジャー試験の受験資格を得られます。
ケアマネジャーは、利用者様のケアプランを作成し、介護サービス全体をコーディネートする重要な役割を担います。
介護現場の実務経験を活かしながら、より広い視点で介護サービスに関わりたい方に適した資格です。
試験の合格率は約20%から30%程度と、介護福祉士よりも難易度が高くなっています。
しっかりとした受験対策が必要です。
試験に合格した後は、介護支援専門員実務研修(87時間以上)を修了し、都道府県の介護支援専門員資格登録簿に登録して、介護支援専門員証の交付を受けます。
ケアマネジャーの平均月給は約30万円から37万円程度です。
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2024年9月時点)によると37万5,410円、「令和6年賃金構造基本統計調査」(2024年)によると30万1,600円となっています。
調査対象や給与の定義の違いにより数値に幅がありますが、介護福祉士よりも高い給与が期待できます。
まとめ
介護資格の取得順序は、資格によって決まっているものとそうでないものがあります。
介護職員初任者研修と実務者研修は、どちらから先に取得しても問題ありませんが、初任者研修を先に取得すると、実務者研修の受講期間や費用を抑えられるメリットがあります。
一方、介護福祉士と介護支援専門員は、実務経験や他の資格の取得が受験資格として必要です。
効率的にキャリアアップを進めるには、次の順序がおすすめです。
まず介護職員初任者研修を受講して介護の基礎を学びます。
次に介護施設で実務経験を積みながら、実務者研修を修了します。
実務経験が3年以上に達したら、介護福祉士国家試験にチャレンジします。
介護福祉士として5年以上の実務経験を積んだ後、介護支援専門員を目指します。
この道筋を歩むことで、段階的に知識と経験を深めながら、無理なくキャリアアップを実現できます。
各資格の受講費用や受験資格については、2025年10月時点の情報を掲載していますが、制度変更の可能性があります。
最新情報は、厚生労働省や公益財団法人社会福祉振興・試験センター、各都道府県の公式サイトで確認してください。
介護業界は、今後も高齢化の進展に伴い、ますます需要が高まる分野です。
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