介護士へ転職!「特養」と「有料」向いているのはどっち?施設の特徴や働き方の違い
目次
介護士へ転職!「特養」と「有料」の選び方
介護業界への転職を考えたとき、「特養と有料老人ホーム、どちらが自分に合っているのだろう」と迷う方は少なくありません。 どちらも高齢者の生活を支える仕事ですが、利用者の特性や業務内容、求められるスキルは大きく異なります。
特養は要介護度の高い方への身体介護が中心で、介護スキルをしっかり身につけたい方に向いています。 一方、有料老人ホームは接遇やレクリエーションも含めた幅広い業務を担当したい方に適しています。
この記事では、特養と有料老人ホームそれぞれの特徴や働き方の違いを、最新の給与データや離職率とあわせて解説します。 自分に合った施設を選び、介護転職を成功させるためのヒントをお伝えします。
最新データで見る介護業界の転職状況
まず、介護業界への転職を検討している方にとって、「本当に仕事は見つかるのか」という点は大きな関心事でしょう。 結論から言うと、介護業界は慢性的な人手不足が続いており、未経験者にも門戸が開かれています。
厚生労働省が2024年7月に公表した「第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、2026年度には全国で約240万人の介護職員が必要になると推計されています。 2022年度時点の介護職員数は約215万人のため、約25万人の増員が求められている状況です。 この数字を達成するには、年間約6万3,000人のペースで介護人材を確保していく必要があります。
求人が豊富な背景には、日本の高齢化があります。 内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、2024年10月時点で日本の65歳以上人口割合は29.3%に達しており、2040年には約35%に達すると予測されています。 高齢者が増えれば介護サービスの需要も増えるため、介護職員へのニーズは今後も高まり続けるでしょう。
介護の仕事は、未経験からでも始められる求人が数多くあります。 定年を理由とした年齢制限を設けている事業所もありますが、60代・70代で未経験から介護職をスタートする方も珍しくありません。 実際、介護現場では幅広い年齢層の職員が活躍しています。
さらに、介護職員初任者研修などの資格を取得すれば、業務の幅が広がるだけでなく、給与アップも期待できます。 厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、資格の有無で平均給与に大きな差が生じています。
| 保有資格 | 平均給与(月給・常勤) |
|---|---|
| 介護福祉士 | 35万50円 |
| 実務者研修 | 32万7,260円 |
| 初任者研修 | 32万4,830円 |
| 資格なし | 29万620円 |
介護福祉士と無資格者では月額約6万円の差があり、年間に換算すると約72万円の違いになります。 将来的には介護福祉士からケアマネジャー(介護支援専門員)へのキャリアアップの道も開かれています。
介護関連の施設にはさまざまな種類があり、どの施設を選ぶかによって働き方や求められるスキルが異なります。 代表的な施設として「特別養護老人ホーム(特養)」と「有料老人ホーム」があり、それぞれ特徴が大きく異なります。 転職を成功させるためには、自分の希望する働き方や適性に合った施設を選ぶことが重要です。
特別養護老人ホーム(特養)とは?
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)は、社会福祉法人や地方自治体が運営する公的な介護施設です。 入居対象は原則として65歳以上で要介護3以上の認定を受けた高齢者となっています。
ただし、要介護1・2の方でも「認知症で日常生活に支障がある」「知的障害・精神障害を伴い日常生活に支障がある」「家族による深刻な虐待が疑われ、心身の安全確保が困難」「単身世帯等で家族の支援が期待できず、地域での介護サービスの供給が不十分」といった要件を満たす場合は、特例入所が認められることがあります。
厚生労働省「令和5年介護サービス施設・事業所調査」(2024年12月公表)によると、2023年10月時点で全国の介護老人福祉施設(特養)は8,548施設あり、前年から54施設(0.6%)増加しています。
特養は入居費用が民間施設と比較して低く抑えられているため、入居希望者が多い傾向にあります。 施設によっては待機期間が発生することもあるため、入居を検討される場合は早めに申し込みをしておくとよいでしょう。
特養は比較的要介護度の高い利用者が多く、終の棲家として長期間入所される方も少なくありません。 終末期ケアや看取りを行う施設も多いことが特徴です。
特別養護老人ホームの働き方
特養には「従来型」と「ユニット型」の2つのタイプがあり、それぞれで働き方が異なります。
従来型
従来型は、4人部屋などの多床室を中心に構成された施設です。 施設全体で食堂や交流スペースを共有し、複数の職員がチームで利用者のケアにあたります。
従来型の特徴として、複数の職員で協力しながら業務に取り組める点が挙げられます。 先輩職員の仕事ぶりを間近で見て学べるため、介護未経験の方でも安心して働き始められる環境といえます。 分からないことがあればすぐに相談できる体制が整っていることも、従来型のメリットです。
ユニット型
ユニット型は、10人程度の個室で構成されるグループ(ユニット)を1つの生活単位とした施設です。 各ユニットには共用のリビングスペースがあり、利用者は個室でプライバシーを確保しながら、他の入居者やスタッフとも交流できる環境になっています。
厚生労働省は、入居者一人ひとりの尊厳を重視したケアを実現するため、2025年度までに特養入所定員の70%をユニット型にする目標を掲げています。 この方針により、近年新設される特養のほとんどはユニット型となっており、ユニット型施設は今後も増加していくと見込まれます。
ユニット型では、利用者一人ひとりの個性や生活リズムを尊重した個別ケアが重視されます。 ユニットごとに専任のスタッフが配置されるため、利用者との距離が近く、きめ細かなケアを提供できます。 「顔なじみ」の関係を築きやすく、利用者に寄り添った介護ができることがユニット型の魅力です。
一方で、夜勤は1人で対応する場合もあり、自分で判断しなければならない場面が増えます。 従来型と比較して、より主体的に動ける方に向いている働き方といえるでしょう。
従来型とユニット型の比較
| 項目 | 従来型 | ユニット型 |
|---|---|---|
| 居室タイプ | 多床室(4人部屋等)中心 | 全室個室 |
| ケアの方式 | 集団ケア | 個別ケア |
| スタッフ配置 | 施設全体でローテーション | ユニット専任 |
| 利用者との関係 | 多くの利用者を担当 | 少人数を継続的に担当 |
| 夜勤体制 | 複数人で対応 | 1人で対応する場合あり |
特別養護老人ホームが向いている人
特養で働くのに向いている方の特徴を整理すると、以下のようになります。
まず、介護スキルや知識を本格的に身につけたい方にもおすすめです。 特養では要介護度の高い利用者が多いため、身体介護の技術を磨く機会が豊富にあります。 入浴介助、排泄介助、移乗介助など、介護の基本的な技術をしっかり習得できます。
また、レクリエーションよりも身体介護を中心に働きたい方にも向いています。 特養では身体介護が業務の中心となるため、レクリエーションの企画・進行が苦手という方でも、介護技術で貢献できます。
終末期ケアや看取りに関心がある方にとっても、特養は貴重な経験を積める場所です。 利用者の最期に寄り添い、尊厳ある生活を支えるという、介護の本質的な役割を担うことができます。
有料老人ホームとは?
有料老人ホームは、民間企業が運営する高齢者向けの居住施設です。 老人福祉法第29条に基づき、「入浴、排せつ若しくは食事の介護」「食事の提供」「洗濯、掃除等の家事」「健康管理」のいずれかのサービスを提供する施設が有料老人ホームに該当します。
有料老人ホームは、提供するサービスの内容によって「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3種類に分類されます。 ただし、健康型有料老人ホームは現状ほとんど存在しないため、転職先として検討する場合は「介護付き」と「住宅型」が主な選択肢となります。
有料老人ホームの働き方
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、都道府県から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。 介護を必要とする高齢者が入居し、施設の介護職員が24時間体制でサポートを行います。
仕事内容は、食事・入浴・排泄介助などの身体介護に加え、洗濯・掃除などの生活支援、レクリエーションの企画・実施など多岐にわたります。 施設によっては、リハビリや医療ケアに力を入れているところもあり、看護師や理学療法士、作業療法士などの専門スタッフと連携しながら利用者をサポートします。
特養と比較すると、利用者の要介護度は幅広く、自立に近い方から要介護度の高い方までさまざまです。 施設ごとに特色があり、認知症ケアに特化した施設、リハビリに注力している施設、ホテルのような接遇サービスを提供する施設など、運営方針はさまざまです。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、自立や要支援など比較的介護度の低い高齢者を主な対象とした施設です。 施設スタッフによる介護サービスは原則として提供されず、介護が必要になった場合は外部の介護保険サービス(訪問介護、デイサービスなど)を利用します。
施設スタッフの主な業務は、見守りや安否確認、食事の提供、洗濯・掃除などの生活支援が中心です。 身体介護の機会は介護付き有料老人ホームと比較して少ないため、身体的な負担は軽減されます。
ただし、近年は住宅型有料老人ホームでも要介護度の高い入居者が増加しているとの報告もあります。 厚生労働省「有料老人ホームの現状と課題・論点について」(2024年)によると、住宅型有料老人ホームでは要介護3以上の入居者割合が約56%に達しており、10年前の約49%から増加傾向にあります。 転職を検討する際は、施設の入居者層や実際の業務内容を確認しておくことをおすすめします。
健康型有料老人ホームについて
健康型有料老人ホームは、自立した健康な高齢者を対象とした施設で、介護が必要になった場合は退去が求められます。 スポーツジムやカラオケ、シアタールームなどの娯楽設備が充実した高級志向の施設が多いのが特徴です。
ただし、健康型有料老人ホームは全国的にほとんど存在しない状況です。 高齢者向け施設としては介護付きや住宅型の需要が高いため、健康型を新設する事業者は極めて少なくなっています。 転職先として検討する場合、健康型の求人はほぼ見つからないと考えておいた方がよいでしょう。
有料老人ホームが向いている人
有料老人ホームで働くのに向いている方の特徴を整理します。
介護付き有料老人ホームは、多職種と連携しながら幅広いケアを提供したい方に向いています。 看護師やリハビリ専門職などと協力して利用者をサポートする機会が多いため、チームケアに興味がある方にはやりがいのある環境です。
レクリエーションやイベントの企画・運営に興味がある方にも適しています。 有料老人ホームでは、利用者の生活を豊かにするためのアクティビティが重視される傾向があり、創意工夫を活かせる場面が多くあります。
接遇やホスピタリティを重視した仕事がしたい方にも向いています。 民間企業が運営する施設では、サービス業としての側面が強く、挨拶やマナー、丁寧な対応が求められます。 接客業の経験がある方は、そのスキルを活かせるでしょう。
また、キャリアパスを明確にして働きたい方にもおすすめです。 大手企業が運営する有料老人ホームでは、リーダー、施設長、本部スタッフなど、キャリアアップの道筋が明確になっていることが多いです。 将来的に管理職を目指したい方は、研修制度やキャリアパスが整備されている施設を選ぶとよいでしょう。
特養と有料老人ホームの比較
転職先を検討する際の参考として、特養と有料老人ホーム(介護付き)の違いを表にまとめました。
| 項目 | 特別養護老人ホーム | 介護付き有料老人ホーム |
|---|---|---|
| 運営主体 | 社会福祉法人・自治体 | 民間企業 |
| 入居対象 | 原則 要介護3以上 | 要介護度問わず |
| 利用者の傾向 | 要介護度が高い方が中心 | 幅広い介護度 |
| 主な業務 | 身体介護中心 | 身体介護+生活支援+レク |
| 看取り対応 | 多い | 施設による |
| 接遇の重視度 | 標準的 | 高い傾向 |
| 研修・資格支援 | 施設による | 充実している施設が多い |
給与の目安
施設種別ごとの平均給与は以下のとおりです。
| 施設種別 | 平均給与(月給・常勤) |
|---|---|
| 介護老人福祉施設(特養) | 36万1,860円 |
| 介護老人保健施設 | 35万2,900円 |
| 特定施設入居者生活介護(介護付き有料等) | 33万8,810円 |
| 通所介護(デイサービス) | 29万4,720円 |
参照:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年3月公表)
給与面では、夜勤のある入所施設(特養、老健)の方が高い傾向にあります。 ただし、これはあくまで平均値であり、実際の給与は施設の規模、地域、本人の経験・資格、夜勤回数などによって異なります。 転職活動の際は、求人票の給与条件をしっかり確認しましょう。
介護業界の給与・離職率の最新動向
転職を検討する上で気になる給与と離職率についても、最新データを確認しておきましょう。
給与は改善傾向
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(2025年3月公表)によると、介護職員(月給・常勤)の平均給与は33万8,200円で、前年から1万3,960円(4.3%)増加しました。 基本給についても25万3,810円と、前年から1万1,130円(4.6%)増加しています。
この背景には、国による介護職員処遇改善の取り組みがあります。 2024年度の介護報酬改定では、これまで別々に運用されていた3種類の処遇改善加算(介護職員処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算)が一本化され、より多くの事業所で活用しやすい仕組みになりました。
国は2024年度に2.5%、2025年度に2.0%のベースアップを目指した加算率の引き上げを決定しており、今後も給与水準の改善が期待されます。
離職率は低下傾向
公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」(2025年7月公表)によると、介護職員の離職率は12.8%で、2年連続で低下しました。 この数字は全産業平均の15.4%(厚生労働省「令和5年雇用動向調査」)を下回っており、「介護職は離職率が高い」というイメージは過去のものになりつつあります。
離職率が低下した要因として、「職場の人間関係が良くなった」「残業削減や有給休暇取得促進が進んだ」「賃金が上がった」などが挙げられています。 事業所ごとの取り組みにより、働きやすい環境が整備されてきていることがうかがえます。
ただし、離職率には事業所間で差があり、10%未満の事業所が約半数を占める一方で、30%以上の事業所も約1割存在します。 転職先を選ぶ際は、その施設の職場環境や定着率についても情報収集しておくことをおすすめします。
介護の転職先、どうやって選べばいい?
自分に合った介護施設を選ぶためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
自分の希望を明確にする
まず、自分がどのような働き方を望んでいるのかを整理しましょう。
- 身体介護の技術をしっかり身につけたい → 特養
- レクリエーションや接遇も含めた幅広い業務をしたい → 介護付き有料老人ホーム
- 身体的な負担を抑えて働きたい → 住宅型有料老人ホーム、デイサービス
- 夜勤なしで働きたい → デイサービス、訪問介護
給与面だけでなく、勤務時間、夜勤の有無、通勤距離なども含めて、自分のライフスタイルに合った施設を選ぶことが長く働き続けるコツです。
施設見学で雰囲気を確認する
求人情報だけでは分からない情報もあります。 可能であれば施設見学を行い、以下の点をチェックしましょう。
- 施設内の清潔感
- スタッフの表情や挨拶
- 利用者とスタッフのコミュニケーションの様子
- 職場の雰囲気
実際に見学することで、「ここで働きたい」と思えるかどうかの判断材料が得られます。
求人情報で確認すべきポイント
求人票では、以下の点を確認しておきましょう。
- 給与・手当の内訳(基本給、夜勤手当、処遇改善手当など)
- 勤務時間・シフト体制
- 資格取得支援制度の有無
- 研修制度の内容
- キャリアアップの道筋
介護職員処遇改善加算を取得している事業所かどうかも、給与水準を判断する目安になります。
クリエ福祉アカデミーで介護転職をサポート
介護業界への転職を検討している方、介護資格の取得を目指している方には、クリエ福祉アカデミーのサポートを活用することをおすすめします。
クリエ福祉アカデミーでは、介護職員初任者研修や実務者研修などの資格取得講座を開講しており、介護の知識・技術を基礎から学ぶことができます。 資格を取得することで、転職活動において有利になるだけでなく、入職後の給与アップにもつながります。
さらに、クリエ福祉アカデミーは介護職に強い人材紹介・派遣の実績があり、一人ひとりの希望に合わせた転職サポートを行っています。 具体的には以下のようなサポートを受けられます。
- キャリア相談:希望する働き方や将来のキャリアプランに合わせて、最適な施設タイプや求人をご提案します。
- 履歴書・職務経歴書の添削:介護業界に合った書き方をアドバイスし、書類選考の通過率を高めます。
- 面接対策:よく聞かれる質問への回答例や、面接時の注意点をお伝えします。
- 施設見学の調整:気になる施設への見学をサポートし、実際の職場の雰囲気を確認できます。
- 入職後のフォロー:入職後も困ったことがあれば相談できる体制を整えています。
転職先の情報収集を自力で行うのは大変です。 特に、施設ごとの職場環境や人間関係、実際の業務内容といった情報は、求人票だけでは分かりにくいものです。 介護業界に精通したスタッフに相談することで、より自分に合った転職先を見つけやすくなります。
介護の仕事に興味がある方、転職を検討している方は、まずはお気軽にご相談ください。
お仕事相談フォームはこちら https://crie-hukushi.com/recruit/usr-form/
求人情報はこちら https://crie-hukushi.com/recruit/
まとめ
介護業界は人手不足が続いており、未経験からでも挑戦しやすい環境が整っています。 国による処遇改善の取り組みにより給与水準は向上傾向にあり、離職率も全産業平均を下回るまで改善しています。
特別養護老人ホームと有料老人ホームでは、運営主体、利用者の特性、業務内容、求められるスキルなどに違いがあります。どちらの施設が自分に合っているかは、希望する働き方やキャリアプランによって異なります。 転職を成功させるためには、施設の特徴を理解した上で、実際に見学するなどして職場の雰囲気を確認することが大切です。
介護資格の取得や転職活動でお悩みの方は、クリエ福祉アカデミーにぜひご相談ください。