2026年介護業界の就職環境は?最新データから見る現状と今後の見通し
介護業界への就職や転職を考えている方にとって、実際に就職しやすいのか、そして長く働ける環境なのかは重要な判断材料になります。
2025年10月時点で公表されている最新の統計データをもとに、2026年に向けた介護業界の雇用状況を詳しく解説します。
有効求人倍率と離職率という2つの重要な指標から、介護業界の人材需要と職場環境の実態、そして今後の見通しを明らかにしていきます。
目次
有効求人倍率とは?介護業界の雇用状況を知る基礎知識
有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人があるかを示す数値です。
厚生労働省が毎月公表している一般職業紹介状況に基づき算出されており、労働市場の需給バランスを把握するための重要な指標として活用されています。
計算式は以下の通りです。
有効求人倍率 = 有効求人数 ÷ 有効求職者数
たとえば、求職者100人に対して求人が300件ある場合、有効求人倍率は3.0倍になります。
1人の求職者に対して3件の求人がある状態を意味しており、求職者にとっては就職先を選びやすい売り手市場といえます。
一方、求職者100人に対して求人が50件しかない場合、有効求人倍率は0.5倍です。
この場合は2人で1件の求人を争う買い手市場となり、就職活動の難易度が高くなります。
有効求人倍率が1.0倍を超えていれば、求職者数よりも求人数が多い状態です。
逆に1.0倍を下回る場合は、求人数よりも求職者数が多く、就職競争が激しい状況を示しています。
ただし、有効求人倍率はハローワークに登録されている求人と求職者のデータから算出されているため、民間の求人サイトや転職エージェントのみを利用している求人・求職者は含まれていません。
実際の労働市場全体の状況とは若干のずれが生じる可能性がある点に注意が必要です。
2025年最新データ|介護業界の有効求人倍率
2025年8月の全職業平均の有効求人倍率は1.20倍でした(厚生労働省「一般職業紹介状況」令和7年8月分、2025年10月3日公表)。
求職者1人に対して約1.2件の求人がある計算になります。
では、介護業界の有効求人倍率はどうなっているのでしょうか。
介護サービス職業全体の最新データは、2024年度の調査結果が公表されるまで確認できませんが、職種によって大きな差があることが明らかになっています。
特に深刻なのが訪問介護員の人手不足です。
2023年度の訪問介護員の有効求人倍率は14.14倍でした(厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会」資料、2024年9月12日公表)。
1人の求職者に対して約14件の求人がある極めて高い水準です。
厚生労働省はこの状況について「有効求人倍率は高止まり。非常に厳しい状況が続いている」と認識を示しています。
一方、施設の介護職員については訪問介護員ほど高くはありませんが、それでも全職業平均を大きく上回る水準で推移しています。
過去のデータを見ると、介護サービス職業全体の有効求人倍率は2021年時点で3.6倍でした(厚生労働省資料)。
全職業平均と介護業界の有効求人倍率を比較すると以下の通りです。
| 職種分類 | 有効求人倍率 | 調査時点 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 全職業平均 | 1.20倍 | 2025年8月 | 厚生労働省「一般職業紹介状況」令和7年8月分 |
| 介護サービス職業全体 | 3.6倍 | 2021年 | 厚生労働省資料 |
| 訪問介護員 | 14.14倍 | 2023年度 | 厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会」資料 |
全職業平均の1.20倍と比較すると、介護業界は約3倍近い求人倍率を維持しており、慢性的な人手不足の状態が続いていることがわかります。
介護人材の不足はさらに深刻化
介護業界の有効求人倍率が高い背景には、高齢化の進行に伴う介護需要の増加があります。
厚生労働省の推計によると、2025年度には約32万人の介護職員が不足し、2040年度には約69万人が不足する見通しです(厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」)。
2026年以降も高齢者人口の増加は続くため、介護人材の需要はさらに高まると予測されています。
内閣府の高齢社会白書によると、2025年には65歳以上の高齢者が総人口の約30%を占める見込みです(内閣府「令和6年版高齢社会白書」)。
この割合は2040年には約35%まで上昇すると推計されており、介護サービスを必要とする高齢者の増加に伴い、介護職員の需要も拡大し続けると考えられます。
一方で、生産年齢人口(15歳〜64歳)は減少を続けており、介護業界だけでなく全産業で人材確保が困難になる見通しです。
こうした状況から、現在のトレンドが継続すれば2026年も売り手市場が続くと考えられます。
ただし、これはあくまで統計データに基づく推計であり、経済状況や政策の変化によって実際の雇用環境は変動する可能性があります。
介護業界の離職率は本当に高いのか?最新データで検証
介護職について離職率が高いというイメージを持っている方も少なくないかもしれません。
実際のところ、介護業界の離職率はどのような状況なのか、最新データで確認していきます。
公益財団法人介護労働安定センターが2025年7月28日に公表した「令和6年度介護労働実態調査」によると、2024年度の介護職員の離職率は12.4%でした。
この数値は調査開始以来の過去最低を更新しており、2023年度の13.1%から0.7ポイント改善し、2年連続で低下しています。
職種別に見ると、訪問介護員の離職率は11.4%で4年連続の低下、介護職員は12.8%で2年連続の低下となっています(同調査)。
厚生労働省「雇用動向調査」が示す全産業の離職率15.4%(2023年)と比較すると、介護業界の離職率は3.0ポイントも下回っています。
さらに、医療・福祉分野全体の離職率16.0%(2023年、厚生労働省「雇用動向調査」)と比較しても、介護業界の定着率の高さが際立ちます。
介護業界の離職率は全産業平均よりも大幅に低い水準にあるのです。
産業別の離職率を比較すると以下の通りです。
| 産業分類 | 離職率 | 調査年度 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 宿泊業・飲食サービス業 | 26.9% | 2022年 | 厚生労働省「雇用動向調査」 |
| 生活関連サービス業・娯楽業 | 23.9% | 2022年 | 厚生労働省「雇用動向調査」 |
| 医療・福祉分野全体 | 16.0% | 2023年 | 厚生労働省「雇用動向調査」 |
| 全産業平均 | 15.4% | 2023年 | 厚生労働省「雇用動向調査」 |
| 介護業界(2職種計) | 12.4% | 2024年度 | 公益財団法人介護労働安定センター「令和6年度介護労働実態調査」 |
この表から、介護業界の離職率は他業界と比較しても特別に高いわけではなく、むしろ全産業平均を大きく下回る良好な水準にあることが明確にわかります。
さらに、介護業界の離職率は年々低下傾向にあります。
2012年度以降、離職率は継続的に減少しており、ここ10年ほどは約15%前後で推移してきました。
2023年度に13.1%、2024年度に12.4%まで低下したことで、介護職の定着率が着実に向上していることがわかります。
一方、採用率は14.3%と3年ぶりに低下しました(同調査)。
前年度の16.9%から2.6ポイント低下しており、人材確保の難しさが顕著になっています。
ただし、採用率が離職率を上回っている状況は維持されており、介護業界全体としては人材の純増が続いています。
離職率が低下している理由
離職率が過去最低を記録した背景には、どのような要因があるのでしょうか。
同調査で離職率は低下(定着率は上昇)傾向にあると回答した事業所に理由を聞いた結果、最も多かったのは職場の人間関係がよくなったためで63.6%でした。
次いで残業削減、有給休暇の取得促進、シフトの見直し等を進めたためが45.6%、職場全体で介護の質を高めるための意識を共有したためが37.8%、賃金水準が向上したためが36.3%となっています(公益財団法人介護労働安定センター「令和5年度介護労働実態調査」)。
この結果から、職場環境の改善と処遇改善の両面で取り組みが進んでいることが離職率低下につながっていると考えられます。
特に職場の人間関係の改善が最大の要因となっている点は注目すべきです。
介護の仕事は利用者様との関わりだけでなく、職員同士の連携やチームワークが重要になります。
職場の雰囲気や人間関係が働きやすさに直結しているのです。
また、政府による処遇改善の取り組みも効果を上げています。
2017年の介護職員処遇改善加算では月額1万円相当の引き上げが行われました。
2019年の特定処遇改善加算では、勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を目指す制度が導入されました。
2022年には介護職員等ベースアップ等支援加算により月額9,000円の引き上げが実施され、2024年の介護報酬改定ではプラス改定が行われています。
このように継続的な処遇改善が進められており、介護職の待遇は着実に向上しています。
2026年は処遇改善のさらなる進展に期待
2026年以降も、介護職の処遇改善に向けた取り組みは継続される見通しです。
厚生労働省は介護職員の賃金引き上げを重要課題と位置づけており、今後も介護報酬改定や各種加算制度を通じた処遇改善が進められると予測されます。
ただし、具体的な改定内容や実施時期については、2026年以降の予算編成や社会保障審議会での議論を経て決定されるため、現時点では確定していません。
最新の情報は厚生労働省の公式サイトで随時確認することをおすすめします。
離職率の低下傾向が続いていることから、2026年の介護業界は職場環境の改善と処遇改善が進み、より働きやすい環境が整っていくと期待されます。
就職しやすく定着しやすい環境へ
2025年10月時点のデータと厚生労働省の推計から、2026年の介護業界の雇用状況について以下の見通しが立てられます。
第一に、介護業界の有効求人倍率は全職業平均を大きく上回る水準が続く見通しです。
特に訪問介護員は14.14倍という極めて高い水準にあり、2026年以降も慢性的な人手不足が続くと予測されます。
求職者にとっては就職先を選びやすい売り手市場が維持されると考えられます。
第二に、介護職の離職率は12.4%と過去最低を更新しており、全産業平均の15.4%を3.0ポイントも下回る水準まで改善しています。
職場環境の改善や処遇改善の効果により、介護職が定着しやすい環境が整いつつあります。
2026年もこの傾向は続くと期待されます。
第三に、2025年度には約32万人、2040年度には約69万人の介護職員が不足する見通しであり、今後も継続的に人材が求められる状況が続きます。
これらのデータから、2026年の介護業界は就職しやすく、かつ長く働ける環境へと変化していくと予測されます。
ただし、施設や地域によって労働環境には差があるため、実際に就職や転職を検討される際は、職場見学や面接を通じて具体的な勤務条件や職場の雰囲気を確認することが大切です。
また、本記事で示した2026年以降の見通しは、2025年10月時点で公表されている統計データと厚生労働省の推計に基づくものです。
実際の雇用環境は経済状況や政策の変化によって変動する可能性があるため、最新情報は厚生労働省や公益財団法人介護労働安定センターの公式サイトで随時確認することをおすすめします。
介護資格取得で就職をさらに有利に
介護業界への就職を考えている方にとって、介護資格の取得は大きなアドバンテージになります。
無資格・未経験でも働ける介護の仕事はありますが、介護職員初任者研修や実務者研修などの資格を持っていると、就職時の選択肢が広がり、給与面でも優遇されるケースが多くあります。
クリエ福祉アカデミーでは、介護職員初任者研修をはじめとする各種介護資格の取得から介護のお仕事紹介まで一貫してサポートしています。
介護の資格取得を検討されている方は下記より詳細をご確認ください。
初めて介護の勉強をする方でも安心して学べるカリキュラムと、経験豊富な講師陣によるきめ細やかな指導が特徴です。
介護業界への第一歩を踏み出したい方、より専門的なスキルを身につけてキャリアアップしたい方は、ぜひクリエ福祉アカデミーの資格講座をご検討ください。
介護業界は今後も安定した雇用が見込まれる分野であり、やりがいを持って長く働ける環境が整いつつあります。
最新のデータが示す通り、2026年の介護業界は就職しやすく、定着しやすい業界として発展していくと期待されます。