介護資格取得のための補助金・給付金を徹底解説|費用負担を減らして資格を取る方法とは?
「介護資格を取りたいけれど、受講費用が心配」という声はよく聞きます。
介護職員初任者研修はスクールによって5万〜10万円程度、実務者研修になると8万〜20万円程度かかるため、費用面でためらっている方も少なくありません。
実は、介護資格の取得費用を大幅に減らせる公的な給付金・補助金制度が複数あります。
国の制度だけでも2024年10月の大幅拡充で最大80%の給付率が実現しており、ひとり親家庭向けの制度を組み合わせると生活費の支援まで得られます。
2026年10月時点で活用できる主な制度を、受給要件・金額・申請の注意点も含めて整理します。
制度は頻繁に改正されるため、詳細は必ず各窓口でご確認ください。
活用できる給付金・補助金の全体像
介護資格の取得費用を支援する制度は、大きく5つに分けられます。
まず、雇用保険に加入している方なら利用できるのが「教育訓練給付金」です。
2024年10月の制度改正で給付率が大幅に引き上げられ、最大80%の給付が可能になりました(厚生労働省「教育訓練給付制度」)。
次に、都道府県・市区町村が独自に実施する「資格取得支援事業」があります。
雇用保険の加入期間に関係なく利用できるケースも多く、費用の一部または全額が補助されることもあります。
ひとり親(母子家庭・父子家庭)の方には、専用の2制度が用意されています。
「自立支援教育訓練給付金」と「高等職業訓練促進給付金」で、最大では数百万円規模の支援を受けられます。
雇用保険に加入したことがない方や、加入期間が短い方には「求職者支援制度」という選択肢があります。
授業料無料で介護職員初任者研修を受講でき、月10万円の生活支援給付金も受け取れます。
そして、2025年に新設された在職者のための教育訓練休暇給付金があります。
1. 教育訓練給付金(雇用保険加入者向け)
教育訓練給付金は、雇用保険の被保険者または離職後1年以内の方が、厚生労働大臣が指定する講座を受講・修了した場合に、受講費用の一部がハローワークから給付される制度です。
給付金は返済不要です。
条件を満たせば、支払った受講費用の一部がそのまま手元に戻ってきます。
ただし、一度利用すると、次に使うには前回の支給日から今回の受講開始日の前日までに3年以上たっている必要があります。
初任者研修で使うと、1〜2年後に受ける実務者研修では使えないことがあるため、実務者研修で使うほうがよい場合もあります。
2026年10月時点では、「一般教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」の3種類があります。
それぞれ給付率や対象資格が異なるため、どの制度を使うかによって受け取れる金額が大きく変わります。
3つの給付金の比較
| 区分 | 基本給付率 | 追加給付(資格取得+就職) | 追加給付(賃金5%上昇) | 最大給付率 | 上限額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 一般教育訓練 | 20% | なし | なし | 20% | 10万円 |
| 特定一般教育訓練 | 40% | +10%(計50%) | なし | 50% | 25万円 |
| 専門実践教育訓練 | 50% | +20%(計70%) | +10%(計80%) | 80% | 年間64万円(最大3年) |
※追加給付は2024年10月1日以降に受講を開始した講座が対象です。
(出典:厚生労働省「令和6年10月から教育訓練給付金を拡充します」)
介護資格別にどの区分が対応しているかは、次のとおりです。
| 介護資格 | 対応する区分 | 最大給付率の目安 |
|---|---|---|
| 介護職員初任者研修 | 一般 または 特定一般 | 最大50% |
| 実務者研修 | 一般 または 専門実践 | 最大80% |
| 介護福祉士養成課程(2年制等) | 専門実践 | 最大80% |
※同じ資格でも、スクールごとに指定を受けている区分が異なります。
受講前に厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で確認してください。
一般教育訓練給付金
一般教育訓練給付金は3区分の中で最も利用しやすい制度です。
受講費用の20%(上限10万円)が、講座修了後にハローワークから給付されます。
たとえば、受講費用8万円の初任者研修講座なら、修了後に1万6,000円が戻ってきます。
給付金の額が4,000円を超えない場合は支給されませんが、初任者研修・実務者研修の費用であれば通常この条件を満たします。
受給条件は、受講開始日時点で雇用保険の被保険者期間が1年以上あること(初めて受給する場合)です。
2回目以降は、前回の受講開始日以降の被保険者期間が3年以上必要です。
また、前回の支給日から今回の受講開始日の前日までに3年以上たっていることも条件です。
離職後の方は、離職日の翌日から受講開始日まで1年以内であることが必要です。
妊娠・出産・育児・疾病・負傷などで30日以上続けて受講を始められない場合は、この期間を延長できます。
延長はハローワークへの申請で行い、最大20年まで認められます。
申請方法は比較的シンプルで、事前手続きは不要です。
講座を修了したあと、修了日の翌日から1か月以内に、住所を管轄するハローワークで申請します。
特定一般教育訓練給付金
特定一般教育訓練給付金は、速やかな再就職や早期のキャリア形成に役立つ講座が対象の制度です。
介護職員初任者研修の多くが指定を受けており、実務者研修についても指定を受けている講座があります。
基本の給付率は受講費用の40%(上限20万円)です。
2024年10月以降に受講を開始した講座では、修了後に資格を取得し1年以内に雇用保険の被保険者として就職した場合、追加で10%(上限5万円)が加わり、合計50%(上限25万円)になります。
たとえば、受講費用8万円の初任者研修の場合、修了後に3万2,000円が支給されます。
その後、資格取得して就職できれば追加の8,000円が加わり、合計4万円が戻ってくる計算です。
受給条件は一般教育訓練給付金と同じく、雇用保険の被保険者期間が1年以上(初回)です。
ただし、特定一般・専門実践教育訓練給付金には受講前の事前手続きが必須です。
受講開始日の2週間前までに、ハローワークで次の手続きを完了する必要があります。
- 訓練前キャリアコンサルティングを受ける
- ジョブ・カードを作成する
- 受給資格確認の手続きを行う
この事前手続きを期限内に行わないと、給付金を受け取れません。
受講を申し込む前にハローワークへ支給要件照会をかけておくと安心です(ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付制度」)。
専門実践教育訓練給付金
専門実践教育訓練給付金は、3区分の中で最も給付率が高い制度です。
介護福祉士の養成課程や、専門実践として指定を受けた実務者研修が対象になります。
給付の仕組みは段階的です。
まず受講中に6か月ごとに受講費用の50%(年間上限40万円)が支給されます。
修了後に資格を取得し1年以内に就職すれば、70%(年間上限56万円)との差額が追加支給されます。
さらに、2024年10月以降に受講した講座で、受講開始前より賃金が5%以上上昇した場合、80%(年間上限64万円)との差額が追加支給されます。
80%は条件をすべて満たした場合の上限で、賃金5%上昇の要件は就職後の状況に左右されます。
最初から80%を前提にした資金計画は避けてください。
給付期間は最大3年間で、たとえば介護福祉士養成施設(2年制)の学費が200万円の場合、上限年64万円×2年=128万円相当の給付が見込めます(実際の給付額は受講費用や達成要件によって変わります)。
受給条件は、雇用保険の被保険者期間が2年以上(初回)であることです。
失業中で初めて専門実践教育訓練を受講する方(受講開始時に45歳未満など一定要件あり)は、別途「教育訓練支援給付金」も受給できます。
教育訓練支援給付金は基本手当日額の60%が支給される制度で、2027年3月31日までの暫定措置として設けられています。
2. 都道府県・市区町村の資格取得支援事業
介護人材の確保と支援を目的として、多くの都道府県・市区町村が独自の補助金制度を設けています。
資格取得にかかる費用の一部または全額を支給してもらえる制度で、雇用保険の加入状況に関わらず利用できる場合があります。
要件・金額・対象者は自治体ごとに異なるため、お住まいの都道府県や市区町村の福祉担当窓口に確認することが必要です。
東京都の「介護職員初任者研修等資格取得支援事業」は、求職者が一定の登録要件を満たすことで受講費用の補助を受けられる制度です。
令和7年度からは島しょ地域でも開講が拡大されました。
補助制度は年度ごとに変更される可能性があります。
受講前に必ず最新情報をご確認ください。
3. ひとり親家庭向けの2つの給付制度
ひとり親(母子家庭・父子家庭)の方には、国の雇用保険制度とは別に、より手厚い支援制度が用意されています。
「自立支援教育訓練給付金」と「高等職業訓練促進給付金」の2制度で、条件によっては2つを組み合わせて利用できます。
ひとり親向け2制度の比較
| 制度名 | 対象 | 給付内容 | 上限 |
|---|---|---|---|
| 自立支援教育訓練給付金 | 母子・父子家庭の親 | 受講費の60%(一般教育訓練)または受講費の85%(専門実践+資格取得+就職) | 一般:上限20万円、専門実践+要件達成:修業年数×60万円(最大240万円) |
| 高等職業訓練促進給付金 | 母子・父子家庭の親 | 養成機関在学中の月額(非課税世帯10万円、課税世帯7万500円)+最終1年は月4万円増額 | 修了支援給付金:非課税世帯5万円、課税世帯2万5,000円 |
出典:こども家庭庁「母子家庭自立支援給付金及び父子家庭自立支援給付金事業について」
出典:こども家庭庁「高等職業訓練促進給付金のご案内」
自立支援教育訓練給付金
市区町村に申請することで受給できる制度で、ひとり親家庭の親御さんが対象です。
講座の種類によって給付率が異なります。
一般教育訓練講座は受講費の60%(上限20万円、下限12,001円)が支給されます。
専門実践教育訓練講座は修学年数×40万円(上限160万円)、さらに資格取得+就職の要件を満たした場合は受講費の85%(修業年数×60万円、最大240万円)まで引き上げられます。
介護分野では、介護職員初任者研修・実務者研修・介護福祉士養成課程が対象となる例があります(自治体によって異なります)。
重要な注意点として、この制度は受講開始前に必ず市区町村の担当窓口に事前相談・申請する必要があります。
受講開始後の申請は給付の対象外になるため、受講を決める前に手続きを進めてください。
審査に2週間〜15日程度かかるため、スケジュールに余裕を持って相談することを強くお勧めします。
なお、国の教育訓練給付金と同一講座で受ける場合、自立支援教育訓練給付金から国の給付額を差し引いた残額が支給される自治体が多いです。
制度の併用については受講前に窓口で確認してください。
高等職業訓練促進給付金
介護福祉士など、養成機関で6か月以上の課程を修了することで資格を取得できる職業訓練を行うひとり親の方を対象とした給付金です。
訓練期間中の月額給付金は、住民税非課税世帯で月10万円、住民税課税世帯で月7万500円です。
修学期間の最終1年間はそれぞれ月4万円が増額されます。
修了時には修了支援給付金として、住民税非課税世帯5万円、住民税課税世帯2万5,000円が支給されます。
たとえば、住民税非課税世帯のひとり親が介護福祉士養成施設(2年制)に通う場合、訓練給付金だけで1年目は月10万円×12か月=120万円、2年目は月14万円×12か月=168万円、修了金5万円を合わせると293万円相当の生活費支援になります(実際の給付額は各自治体の要件と判定によります)。
高等職業訓練促進給付金は、自立支援教育訓練給付金と別制度として原則併用できます。
介護福祉士を目指すひとり親の方は、両制度を組み合わせることで学費と生活費の両面で大幅な支援を受けられます。
4. 求職者支援制度
雇用保険を受給できない求職者の方(雇用保険に加入したことがない方、加入期間が短い方など)には、「求職者支援制度」という選択肢があります。
介護職員初任者研修などのコースを授業料無料(テキスト代等の実費は自己負担)で受講できます。
さらに、一定の要件を満たした方には月10万円の「職業訓練受講給付金」が支給されます。
主な要件は、本人収入が月8万円以下であること、世帯収入が月30万円以下であること、世帯の金融資産が300万円以下であることなどです。
ただし、受講するスクールやスケジュールを自分で選べないこと、選考試験があること、求職活動を続けることが前提となることなど、制約があります。
詳細はお住まいの地域を管轄するハローワークにお問い合わせください。
5. 在職者のための新制度:教育訓練休暇給付金(2025年10月新設)
2025年10月から、在職中の方を対象とした「教育訓練休暇給付金」が新設されました(厚生労働省「教育訓練休暇給付金」)。
在職中の介護職の方が実務者研修や介護福祉士養成課程に通うために、会社の就業規則に基づく30日以上の無給休暇を取得した場合に、失業給付(基本手当)に相当する給付が支給される制度です。
主な要件は、雇用保険に通算5年以上加入していること、休暇開始前の2年間に被保険者期間が12か月以上あること、業務命令ではなく本人の意思による休暇取得であることなどです。
給付期間は最大150日で、30日ごとにハローワークで認定を受けて支給されます。
ただし、この制度を利用するには、勤務先の就業規則に教育訓練休暇制度が定められている必要があります。
現時点では制度を導入している企業はまだ少ないため、まずは勤務先の就業規則や人事担当者に確認してみてください。
申請の際に必ず確認すべきポイント
給付金を受け取るうえで見落としやすいポイントが、申請のタイミングです。
まず、一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金は、講座の修了後に支給されます。
専門実践教育訓練給付金は、受講中も6か月ごとに支給されます。
どの制度でも受講料はいったん自分で支払うため、支払いと給付の時期を確認しておきましょう。
資金に余裕がない場合は、分割払いが可能なスクールや教育ローンの活用も検討してください。
特定一般・専門実践教育訓練給付金は受講開始2週間前までに事前手続きが必須です。
この手続きを逃すと給付対象外になるため、受講を決めたらすぐにハローワークへ相談することをお勧めします。
自立支援教育訓練給付金は受講開始前の申請が必須です。
受講を始めてから申請しても給付されません。
修了後の給付申請期限は、一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金の場合、原則として修了日の翌日から1か月以内です。
この期限を過ぎても、2年の時効の期間内であれば申請できます。
専門実践教育訓練給付金や、資格取得・就職後などの追加給付は、申請期限の数え方が異なります。
教育訓練支援給付金と教育訓練休暇給付金には、この扱いは適用されません。
手続きが遅れた場合は、ハローワークに確認してください。
受講するスクールが指定講座かどうかの事前確認も欠かせません。
教育訓練給付金は厚生労働大臣が指定した講座のみが対象です。
「給付金対象」と案内しているスクールであっても、必ず厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で講座番号を確認してください。
出席率についても注意が必要です。
多くの講座で出席率80%以上が修了要件とされており、要件を満たさなければ給付金は受け取れません。
2025年以降の制度改正でここが変わった
近年、教育訓練に関わる制度が続けて改正されています。
2026年10月時点での主な改正内容を整理します。
2024年10月施行:教育訓練給付金の給付率引き上げ
(厚生労働省「令和6年10月から教育訓練給付金を拡充します」)
特定一般教育訓練給付金の最大給付率が40%から50%に引き上げられました。
専門実践教育訓練給付金も最大70%から80%に引き上げられています。
2025年4月施行:自己都合退職時の給付制限の変更
(厚生労働省)
自己都合で退職した方が教育訓練(教育訓練給付対象講座・公共職業訓練等)を自ら受ける場合、雇用保険の給付制限が解除され、待期7日後すぐに基本手当を受給できるようになりました。
一般の自己都合退職でも、給付制限期間が2か月から1か月に短縮されています。
ただし、5年以内に3回以上自己都合退職した場合は給付制限が3か月のままです。
2025年10月施行:教育訓練休暇給付金の新設
(厚生労働省「教育訓練休暇給付金」)
前述の通り、在職中の方が無給で教育訓練休暇を取得した場合の新たな給付制度が始まりました。
詳細は前章をご参照ください。
クリエ福祉アカデミーの講座と給付金
クリエ福祉アカデミーでは、介護職員初任者研修と実務者研修を開講しています。
クリエの講座は 「一般教育訓練給付金」の指定講座 です(専門実践・特定一般教育訓練給付金の対象外)。
修了後にハローワークから受講費用の20%(上限10万円)が給付されます。
他校では実務者研修が専門実践教育訓練給付金の対象になる場合もありますが、給付金の種類はスクールごとに異なるため、受講前に厚生労働省の「教育訓練講座検索システム」で確認することをお勧めします。
なお、市区町村の補助金で受講料全額が賄える場合は、教育訓練給付金は受けられない点にご注意ください。
また、本人が負担した受講費用が2万円以下の場合は、給付金が4,000円以下になるため支給されません。
ご自身がどの制度を利用できるかについては、受講相談の際にお気軽にお問い合わせください。
資格取得後の就職についても、介護転職サポートをご活用いただけます。
東京都の「初任者研修等資格取得支援事業」など、自治体の支援制度の対象事業所への就業支援も行っています。
まとめ
介護資格の取得費用を支援する制度は、国・自治体・ひとり親向けと複数あります。
- 雇用保険加入者:教育訓練給付金(最大80%、年間上限64万円)
- 自治体の補助:要件・金額は自治体ごとに異なる
- ひとり親:自立支援教育訓練給付金(最大240万円)+高等職業訓練促進給付金(月10万円+修了金)
- 雇用保険未加入の求職者:求職者支援訓練(無料受講+月10万円)
ただし、どの制度も受講前の申請・手続きが必要なものがほとんどです。
特に、特定一般・専門実践教育訓練給付金は受講開始2週間前まで、自立支援教育訓練給付金は受講開始前の申請が必須です。
「受講後に申請すればよい」と思っていると給付対象外になる場合があるため、制度の利用を考えている方はまず窓口への相談から始めてください。
給付金の受給要件や最新情報は、厚生労働省「教育訓練給付制度」のほか、住所地管轄のハローワーク(教育訓練給付金)、市区町村のひとり親家庭自立支援担当(自立支援教育訓練給付金・高等職業訓練促進給付金)でご確認ください。