初任者研修を修了したらどんなキャリアアップが可能?次に取る資格・給与・目指せる役職を解説
介護職員初任者研修を修了したあと、次に何をすればよいか迷う方は少なくありません。
結論からいうと、初任者研修は介護職のキャリアパスの入口です。
実務者研修の修了と現場での実務経験がそろうと、介護福祉士の国家試験を受験できます。
その先には、認定介護福祉士と介護支援専門員(ケアマネジャー)という2つの道が開けています。
まずは働きながら実務者研修を視野に入れ、経験を積み始めることが近道です。
介護福祉士の受験に必要な実務経験は、年数だけでなく勤務日数でも数えます。
働き始めるときから勤務日数を意識し、研修の費用は給付金や自治体の補助で抑える方法も検討しましょう。
制度や日程は、2026年9月時点の情報です。
初任者研修を修了すると何が変わるか
介護職員初任者研修は、介護の基本的な知識と技術を学ぶ入門の研修です。
旧訪問介護員(ホームヘルパー)2級から移行した研修で、時間数も同じ130時間です。
平成25年度(2013年度)の研修体系の見直しにより、「介護職員初任者研修課程」に一元化されました。
根拠となる通知は、厚生労働省の「介護員養成研修の取扱細則について」(平成24年3月28日)です。
介護の仕事そのものは、施設などであれば無資格・未経験でも始められます。
一方、訪問介護員(ホームヘルパー)として働く場合は、初任者研修などの修了が必要です。
修了後は訪問介護員として、利用者の自宅で身体介護を提供できるようになります。
もう1つの変化は、認知症介護基礎研修を別に受講しなくてよくなることです。
認知症介護基礎研修の受講が義務づけられている介護保険サービスでは、事業者が対象の職員に研修を受けさせる必要があります。
対象は、医療・福祉関係の資格を持たず、介護に直接携わる職員です。
初任者研修の修了者はこの対象に含まれないため、施設で働く場合にも修了しておく意味があります。
ただし、初任者研修の修了はゴールではなく、キャリアの入口にすぎません。
この先の段階と、段階ごとの役割や給与の違いを見通しておくと、次の一歩を選びやすくなります。
修了後のキャリアパスの全体像
初任者研修から先の主な資格と研修を段階順に並べると、次のとおりです。
| 段階 | 資格・研修 | 主な要件 | 時間・期間の目安 | 主な役割・できること |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 介護職員初任者研修 | なし | 130時間 | 訪問介護員として身体介護を提供できる |
| 2 | 実務者研修 | 初任者研修の修了は不要 | 450時間(初任者研修修了者は320時間) | サービス提供責任者の資格要件、介護福祉士受験(実務経験ルート)の必須要件 |
| 3 | 介護福祉士 | 実務経験3年以上(従業期間1,095日以上かつ従事日数540日以上)と実務者研修の修了 | 国家試験(年1回・筆記試験のみ) | 国家資格を持つ介護職として現場の中心を担う |
| 4 | 認定介護福祉士 | 介護福祉士取得後の実務経験5年以上など | 養成研修600時間 | 質の高い介護実践に加え、介護職のチームへの教育・指導を担う |
| 別ルート | 介護支援専門員(ケアマネジャー) | 介護福祉士などの資格に基づく業務の従事期間が通算5年以上かつ従事日数900日以上 | 試験に合格後、実務研修を受講 | ケアプランの作成(介護福祉士とは別ルートの専門職) |
※2026年9月時点の内容です。
初任者研修から介護福祉士を目指す場合は、実務経験を積み、かつ実務者研修を修了する必要があります。
認定介護福祉士と介護支援専門員は、介護福祉士として経験を積んだ先の選択肢です。
資格ごとの待遇の傾向は、保有資格別の平均給与額で確認できます。
| 保有資格 | 平均給与額(月額) |
|---|---|
| 介護福祉士 | 350,050円 |
| 実務者研修 | 327,260円 |
| 介護職員初任者研修 | 324,830円 |
| 保有資格なし | 290,620円 |
※出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」第89表
※介護職員等処遇改善加算を取得している事業所の介護職員(月給・常勤)が対象です。
※2024年9月時点の平均給与額で、基本給のほか手当や一時金を含む金額です。
※保有資格は複数回答のため、複数の資格を持つ人は該当するそれぞれの行に含まれます。
※実務者研修には旧介護職員基礎研修と旧ホームヘルパー1級、介護職員初任者研修には旧ホームヘルパー2級の修了者を含みます。
初任者研修修了者と保有資格なしの差は、月約3万4,000円です。
介護福祉士と初任者研修修了者を比べると、月約2万5,000円の差があります。
この表は資格の区分ごとの平均で、経験年数や役職、勤務先の違いも含んでいます。
資格を取っただけで、同じ額だけ給与が上がることを示すものではありません。
資格と給与を結びつける仕組みの1つに、介護職員等処遇改善加算があります。
この加算の要件には、資格や勤続年数などに応じた昇給の仕組みの整備が含まれています。
職場を選ぶ際は、資格手当や昇給の仕組みがあるかを確認しておくと安心です。
表のとおり、初任者研修の次に位置するのが実務者研修です。
実務経験ルートで介護福祉士を目指すなら、必ず修了しなければなりません。
次のステップは実務者研修
実務者研修は、初任者研修を修了していない方でも受講できます。
全科目を受講する場合の時間数は450時間で、期間は6か月以上で設定されています。
初任者研修の修了者は履修済みの科目が免除されるため、受講時間は320時間です。
修了すると得られる主なメリットは、次の2つです。
- 介護福祉士国家試験(実務経験ルート)の受験に必須の要件を満たせる
- 訪問介護事業所のサービス提供責任者(サ責)の資格要件を満たせる
実務者研修の修了は、平成28年度(第29回)試験から受験の必須要件になりました。
サ責は、ケアプランに基づく訪問介護計画の作成や、ヘルパーへの指示などを担う役職です。
初任者研修や旧ホームヘルパー2級の修了者は、経過措置が2019年3月31日で終わり、サ責の資格要件を満たしません。
介護福祉士を取得する前でも、実務者研修を修了していればサ責の資格要件を満たせます。
実務者研修では、喀痰吸引や経管栄養といった医療的ケアも学びます。
ただし、研修を修了しただけでは、喀痰吸引などを業務として行うことはできません。
業務として行うには、実地研修を含む喀痰吸引等研修を修了し、認定特定行為業務従事者の認定を受ける必要があります。
あわせて、勤務先の事業所が登録特定行為事業者として登録されていることも条件です。
なお、実務者研修の修了だけでは、介護福祉士の国家試験を受験できません。
現場での実務経験と組み合わせて、はじめて受験資格がそろいます。
実務経験を積んで介護福祉士をめざす
介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく国家資格です。
実務経験ルートで受験するには、実務者研修の修了に加えて次の実務経験が求められます。
- 従業期間3年以上(1,095日以上)
- 従事日数540日以上
従業期間と従事日数は、両方とも満たす必要があります。
たとえば週1日の勤務では、3年続けても従事日数は156日ほどで540日に届きません。
年数だけで判断せず、勤務日数の積み重ねも意識しておきましょう。
受験申込の時点で実務経験を満たしていなくても、申し込むことはできます。
試験を実施する年度の3月31日までに満たす見込みであれば、「実務経験見込み」として受験できます。
見込みで申し込んだ方は、実務経験を満たしたあとに勤務先へ実務経験証明書の作成を改めて依頼します。
確定した証明書は、試験センターが定める4月上旬の期限までに提出します。
試験は筆記試験のみで、実技試験は廃止されています。
第38回試験は2026年1月25日に実施され、合格者54,987人、合格率70.1%でした。
第38回からは、試験科目を3つのパートに分けて判定するパート合格も導入されました。
合格したパートは、翌年と翌々年の試験で受験が免除される仕組みです。
第39回試験の受験申込は2026年7月22日から9月2日までで、受付はすでに終了しています。
試験日は2027年1月31日(日)、合格発表は2027年3月23日(火)の予定です。
これから実務経験を積む方は、第40回以降の日程と申込方法を社会福祉振興・試験センターで確認してください。
受験申込の時点で実務者研修が修了していなくても、修了見込みで出願できます。
その場合は、受験する年度の3月31日までに実務者研修そのものを修了しなければなりません。
第39回に修了見込みで出願した方は、2027年3月31日までの修了が必要です。
修了証明書の提出期限はこれとは別に定められ、第39回は2027年4月9日(金)です。
期限までに提出しないと試験は無効になるため、提出方法は試験センターの案内に従いましょう。
受講の開始が遅れると修了が間に合わないこともあるため、実務者研修は早めに始めておくと安心です。
介護福祉士を取得したあとも、キャリアの道は続きます。
現場で専門性を深める道と、ケアプランを担う別の専門職へ進む道の2つが代表的です。
介護福祉士の先にある2つの道
どちらも介護福祉士として実務経験を積んだ先の選択肢で、役割や要件が異なります。
認定介護福祉士
認定介護福祉士は、介護福祉士のキャリアアップのための仕組みです。
より質の高い介護実践や介護サービスマネジメントに対応し、介護職のチームへの教育・指導も担います。
認定するのは認定介護福祉士認証・認定機構です。
機構は2015年12月に一般社団法人として設立され、2022年からは日本介護福祉士会の中に置かれています。
養成研修の受講要件は、介護福祉士の資格を持ち、取得後の実務経験が5年以上あることです。
さらに、介護職員向けの現任研修を100時間以上受けた研修歴が求められます。
研修実施団体が課すレポート課題か受講試験で、一定水準の成績を収めることも必要です。
養成研修は、Ⅰ類345時間とⅡ類255時間の計600時間で構成されています。
Ⅱ類に進むには、Ⅰ類の修了に加え、ユニットリーダーやサ責など小チームのリーダーとしての実務経験が必要です。
認定後は、5年ごとに更新が必要になります。
介護支援専門員(ケアマネジャー)
介護支援専門員は、利用者のケアプランを作成する専門職です。
ケアマネジャーは、介護福祉士とは役割の異なる専門職です。
介護福祉士も、必要な実務経験などの条件を満たせば、ケアマネジャーの試験を受けられます。
受験には、介護福祉士などの資格に基づく業務の従事期間が通算5年以上かつ従事日数900日以上であることが必要です。
試験は介護支援分野25問と保健医療福祉サービス分野35問の、2分野60問で構成されています。
東京都の令和8年度の試験は、2026年10月11日に行われました。
受験地は、受験資格の対象業務に就いていれば勤務地、就いていなければ住所地の都道府県です。
受験を考える時点で、その都道府県の最新の試験案内を確認してください。
どちらの道に進む場合も、研修費や受験費用などの負担が生じます。
働きながら次の段階を目指すなら、費用を抑える支援制度を知っておくことが大切です。
資格取得の費用を抑える支援制度
資格取得や就職にかかる費用を支える主な制度には、次の3つがあります。
| 制度 | 内容 | 主な条件・注意点 |
|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金 | 受講料の20%(上限10万円)を支給 | 再び使うには、前回の支給日から今回の受講開始日の前日までに3年以上の経過が必要 |
| 市区町村の受講料補助 | 上限額や対象の研修は自治体ごとに異なる | 市内事業所での就労など、自治体ごとの条件がある |
| 介護分野就職支援金貸付 | 就職にかかる費用として20万円以内を貸付 | 東京都では従業期間2年(730日)以上かつ従事日数360日以上で返済が全額免除 |
※2026年9月時点の情報です。
一般教育訓練給付金は、指定講座を修了すると受講料の20%(上限10万円)が支給される制度です。
20%にあたる額が4,000円を超えない場合、つまり自己負担額が2万円以下なら支給されません。
利用には、雇用保険の加入期間(支給要件期間)が原則3年以上必要です。
初めて利用する場合は、1年以上あれば対象になります。
2回目以降の利用では、前回の受講開始日以降の雇用保険の加入期間が3年以上必要です。
離職中の方は、離職日の翌日から受講開始日までが原則1年以内であることも条件です。
申請は修了日の翌日から1か月以内に行い、電子申請も利用できます。
特に注意したいのは、再び利用するまでの間隔です。
前回の支給日から今回の受講開始日の前日までに、3年以上経過している必要があります。
初任者研修で利用すると、続けて受ける実務者研修では使えない場合があります。
受講料の高い実務者研修を受けるときに、給付金を利用することも検討しましょう。
市区町村によっては、介護の資格取得費用を補助する制度を設けています。
たとえば小金井市の令和8年度の上限額は、初任者研修7万円、実務者研修15万円です。
ただし、訪問介護員などとして市内事業所で3か月継続して働き、従事時間が60時間を超えることなどが条件です。
令和8年度は9月30日まで訪問介護員の申請が優先され、10月1日からはその他の職種も申請できます。
府中市の初任者研修の助成は、限度額8万円です。
訪問介護員などとして市内事業所で3か月以上続けて働くことなどが条件になります。
補助によって自己負担が2万円以下になると、教育訓練給付金は受けられなくなります。
補助の内容や受付状況は年度ごとに変わるため、勤務先や住まいのある自治体で最新情報を確認してください。
介護以外の仕事から介護職に就く方などには、介護分野就職支援金貸付もあります。
初任者研修などを修了して介護職員として就職した方に、就職にかかる費用として20万円以内を貸し付ける制度です。
東京都では、就職した日から3か月以内に申し込み、都内で引き続き2年以上働くと返済が全額免除されます。
この2年は、従業期間2年(730日)以上と従事日数360日以上の両方で判断されます。
週3日の勤務では、2年続けても約312日で360日に届きません。
東京都以外で就職する場合は、就職先の都道府県の窓口で条件を確認してください。
条件を確かめながら制度を使い分けることが、費用を抑えて次の段階へ進むポイントです。
どの講座をいつ受けるか、どの職場で経験を積むかは、相談できる窓口があると決めやすくなります。
クリエ福祉アカデミーで次のステップへ
クリエ福祉アカデミーは、多摩地域の調布校と国分寺校で初任者研修と実務者研修を開講する研修機関です。
調布校は調布駅から徒歩2分、国分寺校は国分寺駅から徒歩1分と、アクセス抜群の立地です。
実務者研修は、自宅学習とスクーリングを組み合わせた通信コースのみで開講しています。
初任者研修の修了者は、通信で学ぶ科目が19科目から10科目に減り、通学は7日間です。
受講期間は約2か月〜6か月が目安になります。
| 保有資格 | 受講料(税込・テキスト代込) |
|---|---|
| 無資格・ホームヘルパー3級 | 108,900円 |
| 介護職員初任者研修修了者 | 86,900円 |
※参考 クリエ福祉アカデミー(2026.10現在)の受講料
これから初任者研修を受ける方には、平日に通う約1か月の短期コースがあります。
週1日通う土曜コース(調布校)と日曜コース(国分寺校)は、いずれも約3か月が目安です。
どのコースも通学と自宅学習を組み合わせた形式で、短期コースなら最短1か月〜で修了を目指せます。
通学の曜日や回数、期間は開講回によって異なる場合があります。
初任者研修と実務者研修を続けて受ける「ダブル受講」なら、両方で108,900円(税込、2026年10月時点)です。
資格取得後の就職や転職は、人材紹介・求人の窓口がサポートします。
クリエは、東京23区はもちろん多摩地域に強い人材会社です。
資格手当や昇給の仕組みも含めて、キャリアアップを目指せる職場選びを相談できます。
次の一歩をどう踏み出すか迷ったら、まずは気軽に相談してみてください。
まとめ
初任者研修は、介護職のキャリアパスの入口です。
次は従業期間と従事日数の両方を意識して実務経験を積み、実務者研修の受講も視野に入れましょう。
要件がそろえば介護福祉士の国家試験に挑戦でき、その先には認定介護福祉士と介護支援専門員の道があります。
費用の支援制度も活用しながら、一歩ずつ段階を進めていきましょう。