実務者研修を修了するメリットとは?給与・キャリア・医療的ケアの面から解説
介護職として働きながら「次のステップ」を考えたとき、実務者研修の受講を検討する方は多いでしょう。
実務者研修は、介護福祉士国家試験の受験資格として必須であるだけでなく、修了することでサービス提供責任者への道が開けたり、医療的ケアの基礎知識が身についたりと、キャリアの幅が大きく広がります。
ここでは、実務者研修を修了することで得られる具体的なメリットを、給与データや制度の根拠とともに解説します。
目次
実務者研修とは
実務者研修は、介護福祉士の国家試験を「実務経験ルート」で受験するために修了が義務付けられている研修です。
2016年度(第29回)試験から、実務経験3年以上に加えて実務者研修の修了が受験要件に追加されました。
カリキュラムは全20科目・450時間で構成されており、介護過程や認知症の理解、医療的ケアなど実践的な内容を学びます。
無資格の方は修了まで6か月以上かかりますが、介護職員初任者研修や旧ホームヘルパー2級の修了者は9科目・130時間分が免除され、320時間・最短約2か月〜での修了が可能です。
受講にあたって年齢・学歴・実務経験の制限はありません。
介護職員初任者研修を修了していなくても受講できるため、未経験から直接受講する方もいます。
メリット①:介護福祉士国家試験の受験資格が得られる
実務者研修を修了する最大のメリットは、介護福祉士国家試験の受験資格を満たせることです。
介護福祉士を「実務経験ルート」で受験するには、従業期間3年以上(1,095日以上)かつ従事日数540日以上の実務経験に加えて、実務者研修の修了が必要です。
実務者研修を修了していなければ、どれだけ現場経験を積んでいても受験できません。
なお、受験申し込みの時点で実務者研修を修了していなくても、「修了見込み」として申し込むことが可能です。
第38回試験(2026年1月実施)の場合、令和8年3月31日までに修了すれば受験資格が認められます。
ただし、期限までに修了できなかった場合は試験が無効となるため、余裕をもったスケジュールで受講を進めることが大切です。
介護福祉士は介護分野で唯一の国家資格です。
取得すれば専門性の証明になるだけでなく、後述する給与面でも大きな差が出てきます。
メリット②:サービス提供責任者になれる
実務者研修を修了すると、訪問介護事業所における「サービス提供責任者」(サ責)として働けるようになります。
サービス提供責任者は資格の名称ではなく、訪問介護事業所に配置が義務付けられている役職です。
利用者40人に対して1人以上の配置が求められるため、訪問介護事業所にとって欠かせない存在です。
2019年4月の制度改正により、介護職員初任者研修修了者(旧ヘルパー2級)がサービス提供責任者に就くことはできなくなりました。
2026年3月時点でサービス提供責任者になるには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 介護福祉士
- 実務者研修修了者
- 旧介護職員基礎研修修了者または旧ホームヘルパー1級課程修了者
つまり、介護福祉士の資格を持っていなくても、実務者研修を修了していれば実務経験の年数を問わずサービス提供責任者になれます。
サービス提供責任者の主な業務は、訪問介護計画書の作成、ヘルパーへの指示・指導、利用者やご家族との面談、サービス担当者会議への出席、ケアマネジャーとの連携調整などです。
現場の介護業務だけでなく、マネジメントやコーディネーションの役割を担うため、キャリアアップの第一歩として大きな意味があります。
メリット③:医療的ケアの基礎知識が身につく
実務者研修のカリキュラムには「医療的ケア」の科目が含まれており、喀痰吸引(たん吸引)や経管栄養(胃ろうなど)に関する基礎知識を学べます。
高齢化の進行に伴い、介護施設でも喀痰吸引や経管栄養が必要な利用者は増えています。
実務者研修で医療的ケアの基礎を学んでおくことで、こうした利用者への対応力が高まります。
ただし、実務者研修を修了しただけでは、実際にたん吸引や経管栄養の処置はできません。
実際に医療的ケアを行うには、登録研修機関での実地研修を修了し、都道府県から「認定特定行為業務従事者」の認定を受ける必要があります。
また、勤務先が「登録喀痰吸引等事業者」として登録されていることも条件です。
実務者研修を修了していれば、喀痰吸引等研修の「基本研修」が免除されるため、実地研修から始められます。
介護福祉士資格を取得した場合も同様に、実地研修を経て医療的ケアを行えるようになります。
メリット④:給与アップにつながる
実務者研修の修了は、給与面でもプラスに働きます。
厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(第89表)によると、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所における介護職員(月給・常勤)の保有資格別の平均給与額(2024年9月時点)は以下のとおりです。
| 保有資格 | 平均給与額(月額) |
|---|---|
| 介護福祉士 | 350,050円 |
| 実務者研修 | 327,260円 |
| 介護職員初任者研修 | 324,830円 |
| 保有資格なし | 299,620円 |
※平均給与額=基本給(月額)+手当+一時金(4〜9月支給金額の1/6)。
※「実務者研修」には旧介護職員基礎研修およびヘルパー1級修了者を含む。
※「介護職員初任者研修」には旧ヘルパー2級修了者を含む。
実務者研修修了者の平均給与は、無資格者と比べて約27,600円高くなっています。
年間に換算すると約33万円の差です。
ただし、実務者研修修了者と初任者研修修了者の給与差は約2,400円とわずかです。
給与面で大きな差が出るのは、介護福祉士を取得した段階です。
介護福祉士の平均給与は実務者研修修了者よりも約22,800円高く、無資格者との差は約50,400円にまで広がります。
つまり、実務者研修は「給与が劇的に上がる資格」というよりも、介護福祉士の受験資格を得て、さらなる給与アップにつなげるための通過点として位置づけるのが現実的です。
なお、サービス提供責任者に就任すれば役職手当が加算されるケースもあるため、実務者研修の修了が間接的に給与アップにつながる場面は少なくありません。
実務者研修を修了するなら
実務者研修は、介護福祉士への道を開くだけでなく、サービス提供責任者としてのキャリアや医療的ケアの知識など、介護職としての幅を広げてくれる研修です。
クリエ福祉アカデミーでは、調布校・国分寺校で実務者研修を開講しています。
自宅学習と通学を組み合わせたカリキュラムのため、働きながらでも無理なく受講を進められます。
通学日数は7日間で、自宅学習は自分のペースで進められるのが特徴です。
すでに介護職員初任者研修を修了されている方は、免除科目があるため受講期間を短縮できます。
これから介護の資格を取得する方には、初任者研修で基礎を固めてから実務者研修に進む「ダブル受講」もおすすめです。
受講期間や費用、開講スケジュールの詳細は、クリエ福祉アカデミーまでお気軽にお問い合わせください。