介護職の未来は明るい?最新の処遇改善と給与の実態
2024年〜2025年は介護業界にとって大きな転換点となりました。
令和6年度の介護報酬改定により、介護職員の給与は前年比で4%以上アップしています。
「介護職は給料が安い」というイメージが根強くありますが、実際の処遇改善は着実に進んでいます。
本記事では、2025年10月時点での最新データをもとに、介護職の給与の実態と今後の展望を解説します。
目次
令和6年度介護報酬改定で何が変わったのか
改定率は過去最高水準のプラス改定
令和6年度(2024年度)の介護報酬改定は、プラス1.59%となりました。
その内訳は、介護職員の処遇改善分がプラス0.98%、その他の改定率がプラス0.61%です(厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」2024年1月)。
さらに、改定率の外枠として、処遇改善加算の一本化による賃上げ効果や光熱水費の基準費用額の増額により、プラス0.45%が見込まれています。
これらを合計すると、プラス2.04%相当の改定となりました。
令和3年度(2021年度)の改定率がプラス0.7%だったことを考えると、今回の改定は大幅なプラス改定といえます。
施行時期は4月と6月の2段階
改定の施行時期は、ほとんどのサービスが2024年4月1日からでした。
ただし、訪問看護、訪問リハビリテーション、通所リハビリテーション、居宅療養管理指導の4サービスについては、診療報酬改定にあわせて2024年6月1日から施行されています(厚生労働省「第236回介護給付費分科会」2024年1月)。
処遇改善加算が一本化され、事務負担も軽減
3つの加算が1つに統合
令和6年度改定の目玉の1つが、処遇改善加算の一本化です。
2024年6月から、これまで別々だった「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」の3つが「介護職員等処遇改善加算」として統合されました。
一本化の目的は、事業者の事務負担を軽減すること、利用者にとってわかりやすい制度にすること、事業所全体で柔軟な運営を可能にすることです。
新加算の区分はⅠ〜Ⅳの4段階
新しい介護職員等処遇改善加算は、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの4区分に整理されました。
従来の3加算では、申請可能な組み合わせパターンが18通りもあり、複雑な制度となっていました。
一本化により、申請時の複雑さが大幅に軽減されています。
加算率はサービス種別によって異なります。
訪問介護の場合、以下の表のとおりです。
| 加算区分 | 加算率 |
|---|---|
| 加算Ⅰ | 24.5% |
| 加算Ⅱ | 22.4% |
| 加算Ⅲ | 18.2% |
| 加算Ⅳ | 14.5% |
2024年度は2.5%、2025年度は2.0%のベースアップを目標
政府は新加算の創設により、介護現場で働く方々の賃金が2024年度に2.5%、2025年度に2.0%のベースアップにつながることを目標としています。
たとえば、月額給与が32万円の介護職員の場合、2.5%のベースアップで月額8,000円の増加、年間では約96,000円の増加となる計算です。
介護職員の給与は実際にどれだけ上がったのか
平均給与は33万8,200円、前年比4.3%増
厚生労働省が2024年10月に実施した「令和6年度介護従事者処遇状況等調査」の結果によると、介護報酬の処遇改善加算を取得している事業所で働く常勤の介護職員の給与は、2024年9月時点で平均33万8,200円でした。
前年の2023年9月と比較すると、1万3,960円(4.3%)上昇しています。
基本給も平均25万3,810円となり、前年比でプラス1万1,130円(4.6%)でした。
ここでいう給与とは、月々の基本給、各種手当、ボーナスなどをすべて合計したものです。
ボーナスや一時金が出ている事業所では、4月から9月に支給された総額の6分の1が上乗せされた金額となっています。
介護福祉士の平均給与は35万円超え
保有資格別に見ると、資格による給与差が明確に表れています。
以下の表は、2024年9月時点での保有資格別平均給与です。
| 保有資格 | 平均給与(月額) | 年収換算 |
|---|---|---|
| 介護福祉士 | 約35万円 | 約420万円 |
| 実務者研修修了者 | 約32万円 | 約384万円 |
| 初任者研修修了者 | 約32万円 | 約384万円 |
| 無資格者 | 約29万円 | 約348万円 |
資格を取得することで、給与に明確な差が生まれていることがわかります。
勤続年数が長いほど給与は上がる
勤続年数別に見ると、経験を積むことで着実に給与が上昇しています。
以下の表は、勤続年数別の平均給与です。
| 勤続年数 | 平均給与(月額) |
|---|---|
| 1年未満 | 約29万7,000円 |
| 1年以上3年未満 | 約31万2,000円 |
| 3年以上5年未満 | 約32万3,000円 |
| 5年以上10年未満 | 約33万4,000円 |
| 10年以上15年未満 | 約35万1,000円 |
| 15年以上20年未満 | 約36万5,000円 |
| 20年以上 | 約37万8,000円 |
1年目と20年以上を比較すると、約8万円の差があります。
介護職は、経験を積むことで着実に給与が上がる仕組みが整ってきています。
出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」2024年12月
介護職の未来は本当に明るいのか?
処遇改善は着実に進んでいる
2016年に約29万円だった介護職員の平均給与は、2024年には約34万円になり、8年間で5万円ほど上昇しています。
政府は介護人材の確保と定着を促進するため、処遇改善加算をはじめとした取り組みを継続的に行っています。
実際に、厚生労働省の調査では、加算を取得している事業所の80.7%が「加算の全額を2024年度の賃金改善に充てた(予定)」と回答しており、処遇改善の効果が現場に届いていることがわかります。
出典:厚生労働省「介護従事者処遇状況等調査」各年度
出典:厚生労働省「介護職員の処遇改善について」2024年
一方で、地域差や事業所間の格差は残る
ただし、すべての事業所で給与が上がっているわけではありません。
厚生労働省の同調査では、2024年2月から9月の間に「介護従事者全体の給与等を引き上げた」と回答した事業所は78.0%でしたが、「給与水準のまま今後1年以内に引き上げる予定はなし」と回答した事業所も8.8%、「給与等を引き下げた」と回答した事業所も0.9%ありました。
経営不振などの理由から、処遇改善の恩恵を受けられないケースも一部に存在しています。
次回改定は2027年度、さらなる改善が期待される
介護報酬改定は3年に1度のサイクルで行われています。
次回の改定は2027年度(令和9年度)の予定です。
財政制度等審議会や社会保障審議会介護保険部会では、ICT化の推進、人員配置基準の柔軟化、ケアマネジャーの処遇改善などが議論されています。
2025年度も、引き続き2.0%のベースアップを目標としており、政府は介護職の処遇改善を推し進める意向を明確にしています。
介護職としてキャリアアップを目指すには
資格取得が給与アップの近道
介護職として給与を上げる最も確実な方法は、資格を取得することです。
無資格者と介護福祉士では、平均給与に約6万円の差があります。
まず介護職員初任者研修を修了し、次に実務者研修を受講、そして実務経験3年以上で介護福祉士国家試験を受験するという段階的なキャリアパスが整備されています。
処遇改善に積極的な事業所を選ぶ
転職を考える場合は、処遇改善加算の取得状況を確認することが重要です。
加算Ⅰを取得している事業所は、職員のキャリアパス要件や職場環境等要件を満たしており、処遇改善に積極的に取り組んでいる証拠といえます。
施設や事業所を選ぶ際は、給与だけでなく、研修制度や資格取得支援制度が整っているかも確認しましょう。
介護職の未来は少しずつ明るくなっている
令和6年度の介護報酬改定により、介護職員の給与は着実に上昇しています。
2024年9月時点での平均給与は33万8,200円、前年比で4.3%増となりました。
処遇改善加算の一本化により、より多くの事業所での加算取得が期待され、今後もさらなる給与改善が見込まれます。
2025年度は2.0%、2027年度の次回改定でもさらなる処遇改善が議論される予定です。
介護職の未来は、少しずつではありますが確実に明るくなっています。
資格取得や経験を積むことで、着実にキャリアアップできる職種として、今後ますます注目されていくでしょう。